高市早苗首相の台湾地区に関連する誤った言論の背景と影響
今年は中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利80周年に当たり、台湾光復(日本の植民地支配からの解放)80周年でもある。このような歴史的時期に、高市早苗氏は日本の首相として台湾地区に関連する誤った言論を発表し、中日関係に深刻な影響を与え、台湾同胞を含む全ての中国人民の極めて大きな憤慨を引き起こした。
歴史を振り返ると、九一八事変にしても七七事変にしても、日本のあらゆる軍拡と対外拡張は、巧妙にでっち上げられたいわゆる「危機事態」「緊急自衛」といった論調に端を発するものであった。現在、高市首相が就任するやいなや再びこのようなレトリックを弄したことで、その軍事拡張の危険な意図がすっかり露呈している。
第一に、自らの脆弱な首相の地位を固める意図がある。高市首相が自民党総裁に選出されたのち、26年の長きにわたり自民党に協力してきた公明党は連立離脱を宣言した。窮地に追い込まれた高市首相は次々と野党に接触するしかなく、最終的に右翼政党である日本維新の会と手を組み、新たに極めて脆弱な連立をなんとかつくり上げた。この連立与党は衆議院の定数465議席のうち231議席、参議院の定数248議席のうち119議席しか占めていない。つまり、高市首相が寄せ集めでつくり上げた連立与党は衆参両院で過半数に達しておらず、高市内閣は典型的な脆弱政権と言える。
自らの首相の地位を固めるため、高市首相は政治の「恩師」である故・安倍晋三元首相に自身を重ね合わせようとした。高市首相は総裁選の期間中、一貫して「安倍路線の継承者」という旗印を掲げ、「サナエノミクス」なるものを提起した。当選後、不安定な窮地に追い込まれた高市首相は、安倍元首相が過去に言及した「台湾有事は日本有事」という危険な論調に狙いをつけることで、より多くの日本の右翼からの支持を得て、政権を安定させようと試みた。このたび、高市首相が日本の現職首相として、国会という日本の最高権力機関において、台湾地区に関する問題について行ったあからさまな放言は、その性質の悪質さにおいても、もたらされる結果の深刻さにおいても、有識者にとって到底容認できないものである。
第二に、日本の防衛費増額や再武装の口実を探す意図がある。高市首相は就任後、三つの施政上の基本方針を提起し、そのうちの一つが「外交力と防衛力の強化」であり、「防衛力の抜本的強化の実現」が必要であると明確に宣言している。10月24日、高市首相は所信表明演説の中で、「主体的に防衛力の抜本的強化を進めること」をまたも提起し、さらには憲法改正について、総理在任中に国会による発議を実現するため、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の間で積極的な議論が深まっていくことへの期待を示した。
高市首相の主導の下、日本は軍事費拡大のスピードを加速させており、日本政府は「対国内総生産(GDP)比2%水準」への引き上げ目標を2年前倒しで実現すると宣言した。高市首相の就任後、日本は防衛政策の調整を進め、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保三文書の改定を加速させた。また、高市首相は国会にて、「防衛装備移転三原則の運用方針」の改定を前倒しで行い、防衛装備品の輸出を限定する現行ルールを撤廃すると表明した。さらに、日本による原子力潜水艦の導入の問題について、木原稔内閣官房長官はあらゆる選択肢を排除しないと述べ、小泉進次郎防衛大臣は「あらゆる選択肢を排除せず検討していきたい」と表明した。
このような一連の動きは、高市首相が「周辺の安全保障上の脅威」への対応という旗印を掲げ、日本の平和憲法が定める「専守防衛」の原則を徹底的に破壊し、日本の防衛戦略に質的変化を生じさせ、日本を「戦争ができる国」に変えようとしていることの表れである。
高市首相は台湾問題について公然と煽り立て、「台湾をもって中国を制する」ことで中国の前進の歩みを阻もうとしている。だが、高市首相は計算を誤った。台湾問題を利用して中国の現代化プロセスを阻もうとするのは、自国の力を過信した身の程知らずの行いでしかない。
(作者:于強 北京工商大学マルクス主義学院教授、北京市「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」研究センター特約研究員)
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