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日本人はなぜ砂漠に植林するのか

 

張梅=文 日本沙漠緑化実践協会=写真

恩格貝で植林に取り組む松村房子さん

20年ほど前、中国で砂漠緑化の父と呼ばれる83歳の日本人・遠山正瑛氏は、内蒙古の恩格貝で植林を始め、97歳で亡くなるまで14年間続けた。その植林事業は、今も日本沙漠緑化実践協会に参加する数多くの日本人に受け継がれている。協会の名前が「砂漠」ではなく「沙漠」と書くのは、砂漠の地下に水があるからこそ植えた木が生きられるのだと、協会の人々が確信しているからだという。

植林参加のきっかけは

協会の山中勝美理事は、もともと日本の著名な大企業――日立に勤務していた。植林に参加したきっかけは、「現代用語辞書についていたNGOやNPOを紹介する付録冊子を何気なく眺めていたら、この協会のことが出ていて、中国で砂漠緑化に取り組んでいることを知った」ことだという。山中理事は2001年に103次隊に初めて参加した。そして、翌年は砂漠に半年も滞在した。「103次隊で行った後、58歳の時、植林に行くために43年勤めた会社を辞めてしまいました」

植林に参加するには、時間や労力だけでなく、渡航費用も負担しなければならない。そのため、参加者には高齢者が多い。今年86歳の松村房子さんは、旧制女学校を卒業した後で中国江蘇省南通市のカネボウに勤めていたことがあるため、中国に深い感情を持っている。遠山正瑛氏の弟の遠山正憲氏とは古くから面識があり、早くから正憲氏に植林に誘われていたが、ようやく10年ほど前に家族の同意を取り付け、砂漠に行けるようになったという。「もう若い人たちのようなことはできないから、できるだけのことをやっています。私は子どものころから、信州の山の中で育っていますので、掘ったりすることは、自然に身についているのですね。大体15分ほどで一本の木を植えられますよ」という松村さんは、「植林すると、元気になりますよ」と笑う。ところで、砂漠に比べると日本では植林しようとしても簡単ではない。ある時、砂漠から持ってきた苗を東京の公園に植えてみたが、結局誰かに抜かれてしまった。東京では、植林するにも許可がなければならないのだ。広々とした砂漠にはそうした厳しい制限がない。

植林活動に参加する山中勝美理事

参加者には、高齢者のほかに若者の姿も目立つ。ここ数年、愛知大学、名古屋産業大学、名城大学、法政大学などから、多くの大学生が夏休みを利用して植林活動に参加している。彼らの多くは大学で砂漠や環境に関係した学問を専攻している。昨年、法政大学から約30人の学生が植林に参加した。女子学生が25、6人と大半を占めていたが、彼女たちは、サジー(沙棘)というジュースの原料になる植物の研究のために参加したのだという。植林にかかる渡航費用は自己負担となるため、経済的に豊かでない学生は砂漠から戻ったらアルバイトに精を出さなければならない。そこまでして植林に行く意義について、「日本では、手を出せば、水が出てくるような生活です。このため、砂漠で水の貴重さを知って、みなすごく感動するようです」と松村さんは語る。

砂漠に起こる大きな変化

かつて、遠山正瑛氏の恩格貝での植林目標は300万本だったが、協会の努力のもと、すでに360万本の植林が達成された。植林の参加者たちは、砂漠に行くたびに変化を感じている。

植林後芽吹いたポプラ

まず、植えた木は太くなり、緑は濃くなった。「植えたばかりの木はせいぜい直径3センチくらいですが、20年前から続けているため、最初のころのものはすでに20~30センチになりました。最初に行ったときは一面平らな砂漠だった場所が、今では東西16キロ、南北10キロの広大な森林になっています」と松村さん。植林した場所には、草も生えるようになった。「列車に乗ると、かつての茶色の山が、今は下のほうが濃い緑、頂上を薄い緑が取り囲む状態になっているのが見えます」。こうした点に気がつくのも、10年間も植林に参加している松村さんならではだろう。

さらに、生態系も回復しつつある。「ウサギや鷹が見えました。食物連鎖の頂点にいる鷹のような猛禽類が住むのは、生態系が戻っていることを意味しています。鷹がウサギなどの小動物を食べて生息できる森になったということです」と山中理事は説明する。

恩格貝の道端には遠山正瑛氏の像が立っている。作業着姿で、シャベルを手に持ち、ゴム長靴を履き、視線を遠方に向けている。彼が足跡を残した砂漠に、今では数多くの日本人が訪れ、植林することによって人類の平和に貢献したいという彼の遺志を受け継ぎ、黙々と緑を育て、自らの行動で砂漠の生態を改善し、人類の住む地球の再生を目指している。

苗木を植えるための穴を掘るボランティア

長いパイプを使って水やりを行う

 

人民中国インターネット版 2012年1月29日

 

 

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