米国の一国主義、日本の目を覚ます

2018-10-22 12:30:35

  日本は一つの考えに凝り固まった国だ。19世紀末から20世紀前半までの大半の期間において、「憂国」の理論家は日本は戦争しなければ生存できないと考えた。戦後のエリートたちは、日米同盟がなければ日本に活路はないという、新しい長期的な共通認識を形成した。日本の対外政策は往々にして、このような頑なな考えに苦しめられている。

 トランプ政権の一国主義は、金槌のように日本を叩いている。日本の対外政策には、危機を察した後の変革という、積極的な動向が見られたかのようだ。中日関係の最近の動きは、それをよく反映している。

 日本はこれまで、中国との冷たい関係の改善を求めてきた。安倍晋三首相が目前に控えている訪中について、日本メディアは日中首脳の戦略的な歩み寄りと論じている。米国が中国への「敵視」を強め、深刻な貿易衝突が勃発するなか、日本の中国への歩み寄りは確かに驚くべき事態の成り行きである。筆者は、中日両国関係の発展は日本の需要と、日本の二国間関係改善への強い願いを示していると考える。具体的に見ると、次の要素が日本の変化を促したと言える。

 (一)米国がTPPから脱退し、日本に追加関税を導入した。これは日本の日米同盟関係に対する影響力の弱体化を意味する。環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本が参与し積極的に推進する野心あふれる貿易政策であり、日本の国家戦略の重要な構成部分でもある。トランプ政権の脱退により、日本のアジアにおける地位と影響力が弱まった。

 安倍氏の再任後、日本政府は外交で米国と足並みを揃え、米国が指導する国際レジームの中で安穏と生活しようとした。しかしトランプ政権は米国ファーストを強調し、集団からの脱退を繰り返している。これにより日本は従来の外交方針に疑問を抱いている。トランプ政権は日本に対して、米国の国益に完全に合わせるよう強制するのではないか、と。日本は現在もトランプ氏から、鉄鋼・アルミ製品の関税免除を得ていない。日本はトランプ政権に追随すれば、外交の道が狭まり続けることを意識している。

  (二)日本の日米安保同盟の認識に揺らぎが生じている。安保同盟は日米関係の軸だ。戦後70年以上に渡り、日本では政府も民間も「米国はきっと私たちを守ってくれる」という幻想を抱いている。そのためトランプ氏が「自分の国は自分で守れ」と発言すると、日本は落ち着きを失った。日本はシリア情勢が徐々にロシアにコントロールされ、米国が傍観に留まるのを目の当たりにしている。米国が、中東や欧州で警察の役割を演じるべきではないと判断するならば、日本は米国のアジアにおける実力の維持についても疑問を抱く理由がある。

 (三)日本経済は地域の発展への依存を強めている。中国を主な脅威と認定した野田政権は当時、経済を武器に「中国経済は日本との係争の悪化により損失を被る」と警告した。今や双方間の経済的利益の距離が広がるにつれ、日本は経済で中国を脅迫できなくなった。

 米国はもはやアジアの成長を支える中心的な力ではない。東アジアと東南アジアの対米輸出が輸出全体に占める割合は、1980年代中頃の35%から2016年の15%に低下している。これはアジア内部の貿易が急成長しているからだ。またASEAN10カ国と中日韓など6カ国が交渉中のRCEPが合意に達すれば、世界の半数の人口、世界経済の3割を網羅するスーパー自由貿易圏が形成される。日本は当然ながら、日本の発展には東アジア諸国との幅広い協力が不可欠と認識するだろう。

 (四)民主を求める外交が失敗した。安倍氏は外交を主戦場とする政治家であり、価値観外交を提唱している。ところが安倍氏の任期中、西側の民主は最も苦しい時を迎えた。日本は価値観外交の限界を認識している。

 日本は現在まだ米国の「監護」を必要としている。その原因は根深い親米思想を持つ勢力で、日本の多くの政治家は日米同盟以外の選択肢を見つけていない。安倍政権は現在、日米同盟への絶対的な忠誠を示しながら、一連の重大分野で独自の方針を打ち立てている。日本の戦略転換がますます顕著になっている。(筆者孫培松 江蘇省連雲港発展研究院長)

 

中国網日本語版(チャイナネット) 20181020

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