日本学者は見る「小康社会」

2020-10-16 15:27:19

 1970年代から80年代の初頭にかけて、「小康社会」という構想は初めて提起され、2020年に全面的な「小康社会」は実現された。40年余りの歩みの中で、「小康社会」の建設において、どの政策は重要な役割を果たしたのか。「小康社会」の実現後、どんな課題は残されたのか。これらの問題について、神戸大学の梶谷懐教授、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹、東京大学の高原明生教授に見解を伺った。

 神戸大学の梶谷懐教授は「三農(農業、農村、農民)」についての政策を評価し、「胡錦涛政権の時代から、中国は三農問題を非常に重視し、農村をターゲットにした開発政策を進めてきました。2006年に新農村建設、2014 年に新型都市化は出され、新農村建設から新型都市化に至るまでの基本的なラインとして、私が理解しているのは、農村に財政資金を導入し、インフラ建設する、農業生産、特に商品作物などに関して栽培、加工、商品化する産業に補助金をつけ、奨励することです。そういう財政資金を様々な形で導入し、農業や農民を経済的にサポートしていくことが行われました」とコメントした。

 キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は「小康社会」の全面的な実現を改革開放に帰結し、「中国のように巨大な市場を抱えている国の中で、閉鎖的な手法で経済発展を目指しても、目に見える効果がなかなか出にくかったと思います。対して中国が採用してきた改革開放は、世界中から巨額の投資資金や優秀な技術力のある人材を集め、さらに様々な資源を海外から中国に集中させるという、いわゆる「ヒト・モノ・カネ」を中国国内でうまく活用することが、今の経済発展の基礎にもなり推進力にもなりました」と分析した。

 一方、瀬口清之研究主幹は相対的な貧困格差はこれからの課題だと指摘し、「いくら全体が豊かになっても、貧乏な人と豊かな人の格差が大きいと、社会の状況に対して一般庶民が強い不満を持つというのは、全世界共通です。それこそが米国でトランプ政権が生まれた原因です。中国は今後も改革開放と市場メカニズムのサポートを政府が続け、さらに順調に全体レベルの引き上げを図るということは必要だと思いますが、それ以上に、国内の所得分配のばらつきの大きさは、修正が必要になってくると思います」と述べた。

 所得再分配の重要性について、東京大学の高原明生教授も似たような見解を述べた。高原明生教授は「全面的な小康社会を実現したあと、貧困が再生産されないための仕組みを全国的に作ることと富の再分配制度の整備は今後の課題になり続けるのだろうと思います」と指摘した。(編集=王朝陽)

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