朱光耀財政部元副部長 日経フォーラムで秩序ある多角的貿易体制の重要性を強調

2025-05-30 14:40:00

李一凡=文・写真 

日経フォーラム 30回「アジアの未来」が5月29日から30日にかけて東京で開催され、中国財政部の元副部長・朱光耀氏が29日に講演を行った。 

朱氏は講演の中で、「アジアの未来はアジア自身にとって重要であるだけでなく、世界全体にとっても重要だ」と指摘。アジアの国内総生産(GDP)が世界に占める割合や、世界経済成長への貢献度を挙げ、アジアが現在、最も活力ある地域であることを強調した。その上で、アジアの持続的な発展には、平和・協力・開放・包摂といったアジアの価値観を堅持することが不可欠だと訴えた。 

さらに朱氏は、米国政府の関税政策が世界に深刻な不確実性をもたらしていると指摘。「このままでは、世界は弱肉強食の『ジャングルの法則』に逆戻りする恐れがある」と警鐘を鳴らした。中国がこれまで取ってきた対抗措置は、自国の利益を守るだけでなく、国際的な貿易秩序の維持にも貢献するものだと語った。 

その上で、朱氏は「各国は互いに尊重し合い、秩序ある多角的貿易体制を再構築すべきだ。国際社会の連携により、ルールに基づくグローバル貿易体制を回復させることが、米国を含むすべての国の利益につながる」と強調した。 

また朱氏は、気候変動対策についても言及。中国はカーボンピークアウトの目標を数年前倒しで達成する可能性が高いと明らかにするとともに、CarbonBriefが今月発表した研究結果を引用し、中国の二酸化炭素排出量は過去12カ月で1%、今年第1四半期には1.6%減少したと紹介した。さらに朱氏は、「中国は2030年よりも数年早く排出のピークを迎える可能性が高いそれは中国にとって朗報であり、アジアにとっても、そして世界全体にとっても良いニュースだ」と述べた。 

日経フォーラム「アジアの未来」1995年より日本経済新聞社の主催で毎年開催されており、今年は「試練の世界、挑むアジア」をテーマとして活発な議論が行われた。 

人民中国インターネット版

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