山西省左権県 ソーラー発電で貧困脱却へ

2019-01-02 13:17:08

李家祺=文 邢蘭富=写真

山西省晋中市にある左権県は、太行山脈(中国北部にある山地)の西側に位置しており、連綿と続く山の中に200以上の村が点在している。耕地面積には限りがあり、また交通も不便などといった要因のため、同県の経済発展は遅れており、年間所得が3200元を下回る貧困人口は、総人口の約3分の1に及んだ。そこで貧困脱却を実現するため、同県は豊かな太陽光資源を利用し、ソーラー発電産業を興した。

左権県の里長村に住む劉愛軍さんは昔、農作業を主として生計を立てていた。その当時、4人家族の年間所得は全員合わせても1万元に及ばなかった。しかし現在、劉さんは自宅の庭に5㌔㍗のソーラー発電システムを導入し、ソーラー発電による電力の売却だけで年間7000元の収入があるという。この設備を設置するには合計3万6000元の費用がかかったが、政府から8000元の補助金を受けたほか、貧困世帯である劉さんは国の政策により、金利ゼロで農村信用社(中国の農村部に展開する金融機関、日本の農協と類似)から2万元を借り、また自分の貯蓄から8000元を投資した。「最初はソーラー発電をやるかどうか散々迷っていました。もうからなかったらどうしよう、ローンを返せなかったらどうしようと」と、劉さんは率直にこう述べる。「うちの村の党支部書記が先頭に立って書記の自宅に15㌔㍗の設備を設置しました。その収益が良かったことで、私は決心がつきました」。ソーラー発電システムの成功で劉さんは自信を持った。「政府はサポートをしてくれていますが、自分自身でも前に向かって進んでいかないと」と語った。劉さんは来年、ローンを組んで肉用牛を数頭買い、畜産業で収益をさらに上げようと計画している。「もう少しです。貧困脱却まであともう少し」と笑いながら話し、目尻のしわから喜びと期待の念が見えた。現時点までに、同県全域の家庭用屋上ソーラー発電システムの総収益は計800万元を超えたという。

 

2500ムーを占める大型ソーラー発電所の一部

ソーラー発電により、個人の所得が増えただけでなく、集体経済(公有制経済の一種)の収益も増大した。里長村の村集体経済組織は昨年6月に、100㌔㍗のソーラー発電所を立ち上げ、年間13万元の収益を得た。若者が長年出稼ぎに行っているため、同村のお年寄りの数は村全体の4分の1を占めている。お年寄りたちのケアをより充実させるため、村集体は発電で得た資金で、デイサービスセンターを設立し、年中無休で村の65歳以上のお年寄りに無料で1日3食を提供している。そのほか、デイサービスセンターでは、身寄りのない体の不自由なお年寄りに住まいを提供している。センターにいるお年寄りは、「便利だし、みんなでにぎやかにご飯を食べていると、寂しさを忘れますね」と話した。

現在、左権県ではすでに、35カ所に村レベルのソーラー発電所が建てられた。また複数の村が共同で2500ムー(1ムーは約0067)の土地を占める大型発電所を建設した。そのほか、同県は現代化農業やエコツーリズムなどにも積極的に取り組んでおり、今年末までに、貧困から脱却できる予定だ。

 

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