「ニーハオトイレ」から「インターネット+トイレ」へ、中国のトイレ革命
文=蔡夢瑶
中華人民共和国成立初期のトイレは、外国人から「ニーハオトイレ」と呼ばれている。「ニーハオ」は中国語のあいさつで、つまりトイレの中には壁も仕切りもなく、用を足しながらあいさつすることができるのだ。「ニーハオトイレ」はかつて中国独特のトイレ文化の一種とされていた。
しかしそれもまた、昔の話になっている。成立70周年を迎える中国のトイレには、今どのような変化が起きているのだろうか。中国各地のトイレを見てみよう。
êWi-Fiが使える砂漠のトイレ
砂漠に囲まれる甘粛省敦煌鳴砂山月牙泉観光地のトイレは設備が整っている上、Wi-Fiも完備されている。観光客はトイレを利用しながら、観光地の路線図や地図をネットで調べることができる。
ê電子ディスプレイ付きの「スマート公衆トイレ」
南京市の花神湖公園のトイレには電子ディスプレイが備え付けられており、トイレの空き状況だけでなく、その日の電気と水の消耗、利用人数などが表示されている。一人一人が消費した資源を示すことにより、利用者に「省エネ」の理念を伝えている。
ê顔認証トイレットペーパーディスペンサー
北京市の天壇公園のトイレには紙資源節約のため、顔認証トイレットペーパーディスペンサーが導入されている。壁に付いているモニター画面を3秒見つめれば約70センチの紙が出てくる。紙を追加する場合は9分間待たなければならない。トイレットペーパーの盗難防止にもなっている。
ê「全国公衆トイレオンラインシステム」
2017年に試行された「全国公衆トイレオンラインシステム」は、中国の「インターネット+」方針によって生み出されたものである。「インターネット+」とは、インターネットを他の産業・分野と結び付けることで、政府によって積極的に推し進められている。
この携帯のアプリを使って、近くのトイレの場所や開放時間、料金、トイレの数などの情報が手に入れられ、非常に便利な機能だと評されている。
日本のトイレは、よく世界一といわれる。日本産の便座は中国人の間でも非常に人気で、「爆買い」という現象も引き起こした。それは、中国人がトイレの快適化を重視するようになった印でもある。かつてトイレの衛生問題に悩まされていた中国は今、「トイレ革命」を行い、人々の暮らしの質向上を目指している。そして、先に挙げた例はいずれも、その成果を示している。人口が多いため、まだ管理が行き届いていないところもあるが、これからの更なる改善が期待されている。
人民中国インターネット版 2019年8月13日