籠川可奈子=文
会社に入る前に機械で体温を測る筆者(写真提供・筆者)
新型コロナウイルスによる肺炎の影響が身近なところまでやって来たと感じたのは、旧暦の大みそかに当たる1月24日午後のことだった。春節(旧正月)の連休中に必要な食材を買って自宅に戻ると、地域の担当者が来ていて、「福」と書かれた赤い紙を手渡しながら、武漢に親戚はいないかと聞いてきた。
それから、いろいろな予定が変わり、今年の春節休暇は予想とは全く違うものになった。廟会(縁日)も映画も京劇もなくなり、代わりに、ネットニュースやSNSで新型肺炎関連の情報を収集する毎日が続いた。封鎖された武漢の状況に心を痛め、何度も訪れた思い出の街なのに、何もできないことがもどかしく、せめてもの思いで募金した。日本各地からマスクなどの支援物資が贈られていることを知り、感動した。休暇は延長され、それが終わると在宅勤務をすることになった。
日本の家族や知人からは心配するメールが度々送られてきた。確かに、不安がないわけではなかった。しかし、武漢をはじめとする中国各地から連日発信される最新ニュースや、外出時に体感した北京市の厳しい感染症対策から判断して、過度に心配する必要はないように思えた。地下鉄やレストランでは検温が実施され、道行く人々は皆マスクを着用し、自宅のあるアパートは敷地に入るのに許可証提示が必要になっていた。なにより、私は2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)流行時もここにいて、事態が収束していくのを目撃したのだ。そのような私の説明に、家族から「信じてる」という返信をもらえたのはうれしかった。正直、今は日本の感染状況が日に日に心配になっている。中国の経験を参考に、両国が協力して難関を乗り越えられるように願っている。
自宅にいる時間が長くなったおかげで、いくつか良いこともあった。まず、部屋がきれいになった。それから、自炊も再開した。この非常事態は今後もしばらく続くだろうが、落ち着いたらまたぜひ武漢に遊びに行きたいと考えている。黄鶴楼に登り、長江を眺め、熱乾麺を食べる。そんな日が一日も早く訪れてほしいと思っている。
春節初日、天壇公園を訪れると、圜丘壇の中央で記念撮影している子どもたちが「武漢頑張れ!」と叫んでいた(写真提供・筆者)
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