上海の名医による感染症対策①

2020-05-15 16:55:43

張文宏教授が教える家庭の感染症予防

 

 中国で新型コロナウイルスによる肺炎が感染拡大する中、ある医師が「耳が痛い正論ばかり言い、ためになることしか言わない」として、ネットで話題になった。彼こそ、中国最高峰の感染症指定医療機関の一つである復旦大学付属華山病院感染科主任で、上海市新型肺炎医療専門家チームリーダーの張文宏氏だ。

 「家にいるのは隔離ではなく闘いだ」「家に2週間閉じこもってウイルスを飽きさせろ」「現在、新型肺炎に特効薬はない。最も有効なのは人の免疫力だ」「予防策がなければ出社拒否してもよい」「企業の社長がわれわれに寄付する必要はない。隔離されている従業員に給料を払うことが社会貢献だ」などの歯に衣着せぬ発言で、張医師は一躍時の人となった。ネットでは、「率直な発言ばかりで、無駄なところが一つもない」「大胆な物言いだが、真実をしゃべって透明性のあるデータを公開してくれるおかげで、心構えができてパニックにならずに済む」と評価されている。

 感染拡大の間、張医師は最前線で毎晩遅くまで働いてからSNSに文章をアップロードして、防疫知識をシェアし、感染拡大の状況を説明した。その中には、閲覧数1000万回を超えるものもある。先日、張医師は防疫知識の集大成である『張文宏教授が教える新型コロナウイルス予防』を出版するとともに、中国外文局傘下の新星出版社と提携して日本語版の刊行を発表した。日本の方々が新型コロナウイルスの予防・抑制方法をより理解し、中日の感染拡大予防・抑制における協力と交流を強化するのが目的である。日本語版はすでに研究者向け出版ブランド「アスパラ」から出版されている。このたび、本誌では本の内容の一部を抜粋し、3回にわたって紹介する。1回目は家で予防を行う際の注意事項だ。

 

自宅で新型コロナウイルスをどう予防する?

• 規則的に休憩を取り、適度に運動し、睡眠時間を確保してください。

• 良好な個人的衛生習慣を守ってください。手をよく洗い、汚い手で目や鼻、口を触らないでください。せきやくしゃみをする時はティッシュで口と鼻を押さえてください。

• 家族でタオルを共用せず、家の中を清潔に保ってください。

• 部屋は風通しを良くし、換気して清潔を保ってください。

• トイレの水を流す前にふたを閉めてください。

• 家に体温計、使い捨て医療用マスク、サージカル・マスクまたはN95/KN95マスク、家庭用消毒用品などを置いてください。

• 外出はできるだけ控えてください。

• 呼吸器系疾患(発熱、せき、くしゃみなど)を持つ人との濃厚接触はできるだけ避けてください。

• 各種集会はできる限り避け、人が多い場所や密閉空間に行かないでください。

• 野生動物や家畜・家禽との接触は避けてください。

• 発熱やせきなどの症状によく注意してください。

 

飲食で注意することは?

• 卵や牛乳、肉類を食べる際は十分に加熱してください。

• 生ものと調理済み食品を切る包丁やまな板は分けてください。生ものを触った後は手を洗ってから調理済み食品に触ってください。

• 感染が発生したエリアから出荷された肉類でも、製造過程で十分な調理や適切な処理が施されていれば、安全に食べられます。

• 規則正しい食生活を送り、栄養のバランスに気を付けてください。

 

もし疑わしい症状が出た場合、いつ診察に行く?

★以下の手順に従って自己判断してください。

①体温は38度を超えず、明らかな呼吸の短さ、息切れなどの病状がないこと。

②年齢は60歳以下、5歳以上であること。

③妊婦、慢性疾患患者(肺疾患、心血管疾患、慢性腎臓病、免疫性疾患など)、または肥満ではないこと。

 以上に当てはまる場合は、家で休んで経過観察することをお勧めします。家にいる間、水をたくさん飲んで、症状を軽くする風邪薬を服用してください。またマスクを着用し、小まめに手を洗い、部屋を換気するなどの措置をとり、自分と家族の感染予防をしっかりと行ってください。

★以下のような場合は、適宜診察することをお勧めします。

①家で1~2日休んでも、症状が良くならなかった。

②最近、近距離で発熱、せきの症状がある患者に接触したことがある。病院、スーパー、市場など人が密集する場所に行ったことがある、あるいは野生動物との接触歴がある。

③高齢者、妊婦、肥満、および慢性肺疾患、心血管疾患、肝臓や腎臓などの臓器基礎疾患と免疫機能の低下がある人。

 

家に隔離対象の人がいる時

• 隔離対象の人は風通しの良い一人部屋で過ごしてください。共有エリア(キッチン、バスルームなど)の風通しを良くしてください(窓を開ける)。

• 家族は別の部屋で過ごしてください。もし条件が整わない場合は、患者と1㍍以上の距離を保ってください。

• 隔離対象の人の行動範囲を制限し、家族と同じエリアを共用することをできるだけ少なくしてください。特に一緒に食事することを避けてください。

• 歯ブラシ、タオル、食器、トイレ、寝具や服などの共用をしないでください。

• 訪問者は一切断ってください。

 

患者の世話

• 健康で慢性疾患のない人が1人で世話をします。

• 看護する人が隔離対象の人と同じ部屋で過ごすときは、マスクを着用してください。

• 隔離対象の人と直接接触した後、また隔離エリアに入った後は、手洗いを行ってください(食事準備前、食事前、トイレ使用後、目に見える汚れのあるとき)。もし両手に明らかな汚れがなければ、洗い流さないタイプのアルコール消毒液を使っても構いません。もし両手に明らかな汚れがあれば、石けんときれいな水で洗い流します。

 

消毒

• 毎日、塩素系消毒剤で寝室の家具やバスルームの洗面台を清潔にします。

• 60~90度のお湯と一般的な家庭用洗濯洗剤で、患者の服とベッド用品を洗います。汚れた寝具や服と清潔な寝具や服が接触しないようにしてください。

• 以上の作業は使い捨て手袋を着用して行い、その前後に手洗いを行ってください。

• 隔離対象の人が使用した食器は、使用後、洗剤ときれいな水で洗い流せば、捨てる必要はありません。

 

家でエアコンをつけても大丈夫?

★セントラル空調はウイルスを拡散するおそれがあります。そのため、感染拡大中はセントラル空調の使用を停止または減らしてください。空調使用時は必ず以下のことに注意してください。

①換気扇を同時に回してください。

②空調を掃除して消毒してください。個別空調でも定期的に掃除してください。

③定期的にドアや窓を開け、室内の空気を流動させてください。

★家庭用エアコンは個別空調になっており、各部屋間でウイルスが空気中を移動することはありません。しかし、エアコンを使用する際は、小まめに窓を開けて換気し、室内の空気を循環させ、定期的にフィルターを掃除してください。

 

熱いお風呂やサウナは新型コロナウイルスの殺菌に効果はあるか?

 新型コロナウイルスは56度の環境下で30分で死滅します。しかし、一般的なお風呂やサウナは、この温度と持続時間に達しません。また高すぎる水温で長風呂をしてしまうと、逆に体調が悪くなり、めまいや動悸を起こしてしまうこともあります。深刻な場合は虚脱感やめまいで倒れるおそれもあります。しかし、小まめな入浴は感染のリスクを減らします。

 

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