高齢者・障害者を助けるAI技術

2020-11-05 16:44:36

 中国コンピュータ学会が主催する「社会ガバナンスを助ける情報技術」をテーマにした2020年中国コンピュータ会議(CNCC)が10月23日午後13時30分、北京新世紀日航飯店で開催された。会議期間中、中国科学院コンピューティング技術研究所ユビキタスインテリジェンス研究院は、第4回「中日韓(CJK)高齢者・障害者支援技術サブフォーラム」を開催し、中国・日本・韓国の学界や産業界のトップ学者を招いて、コグニティブ時代(cognitive era)のロボットと健康モニタリングのチャンスと課題について議論した。

 

 高齢化の進行とともに、中国では三大脳神経疾患(脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病)が死因の第一位となっている。高齢者の運動や認知における異常を早期に発見し、早期に治療することで、病気の進行を10年近く遅らせることができるとされている。個々の需要に応じた健康サービスにより、最先端のスマートロボットを使用して、人間の生活行動パターンを感知し分析することができる。同時に、ウェアラブルデバイスやIoTデバイスを多数配備することで、いつでもどこでも高齢者の生活状態を記録し、生理的パラメータをリアルタイムで非干渉的に取得して、個人の健康履歴データベースを形成することができるため、在宅高齢者の健康モニタリングのために全面的で信頼度の高いデータ支援を提供することができる。参加したパネリストたちは、コグニティブ時代のスマートロボットが、高齢者や脳神経症患者などの弱者グループに対し、日常生活や移動のためのよりスマートで便利なサービスをいかにして提供するかについて、需要・政策・技術の観点から発言を行い、議論した。

フォーラムの議長を務める陳益強氏。中国科学院コンピューティング技術研究所理事、研究員、博士課程指導教官、中科院コンピューティング技術研究所ユビキタスコンピューティングシステム研究センター長、ユビキタスインテリジェンス研究院院長を兼任。

 フォーラムでは、中国科学院コンピューティング技術研究所理事、研究員、博士課程指導教官で、中科院コンピューティング技術研究所ユビキタスコンピューティングシステム研究センター長、ユビキタスインテリジェンス研究院院長でもある陳益強氏が学術発表を行い、人工知能(AI)、ヒューマンコンピュータインタラクション、ユビキタスの知能システムの関係などについて話したほか、AIコンピューティングシステムの医療・高齢者・障害者への応用について紹介した。

孫立寧氏。蘇州大学博士、教授、博士課程指導教官、国家万人計画専門家、蘇州大学機電学院院長

 孫立寧院長は、人口が高齢化するなかでの中国の小康社会建設戦略に対し、インターネット、AI、ロボット、センサーなどの技術の発展に伴い、中国の医療・健康産業はスマート化・インターネット化の方向に発展していることから、「多分野融合によるスマート医療・健康産業の革新的な発展を促進する」というテーマを取り上げた。中国の医療・健康産業のニーズと海外内の関連分野の発展状況を分析し、特に中国の高齢者と障害者の実際のニーズを踏まえて、革新的な技術と製品、高齢者と障害者を支援するための措置と提案を提示した。

孫富春氏。清華大学コンピュータ科学技術学部教授、博士課程指導教官

 孫富春教授は、人間の嗜好に基づいたスキル学習の枠組みを示すと同時に、高次元空間におけるスキル学習のサンプル利用率と戦略的な学習性能を向上させるために、現在の優れたデモストレーションサンプルに欠く状態のもとで誘導性を利用し、デモストレーション模倣に基づいて学習を最適化する強化手段を提示した。

王啓寧氏。北京大学工学院研究員、副院長、博士課程指導教官

王啓寧副院長は、「人間とコンピュータの融合によるウェアラブルロボットの設計と動作制御」をテーマに、医療リハビリテーション分野におけるウェアラブルロボットへの関心が高まっていることを紹介した。ウェアラブルロボットの障害者・高齢者支援への応用に関わる基礎理論やキーテクノロジーのボトルネック、最新の国際的な研究動向などについて説明した。

史媛媛氏。博士、サムスン電子中国研究院VP

史媛媛博士は、「高齢化するスマート生活の創造、AIイノベーションへの道のり」と題して、中日韓3国が直面している高齢化の現状について紹介した。新しいニーズや市場を開拓するために、イノベーションをどのように活用していけばよいのか? 技術を実際の場面で利用するための課題をどのように解決するのか? 人材や学術的蓄積という点で、企業のニーズはどこにあるのか? 簡単なブラッシュアップやレポートを通じて、多方面から参加者の情報共有や討論が行われた。

徐明氏。日本NEC中国研究院院長

王甦菁氏。中科院心理研究所副研究員



文、写真:孫立成
翻訳:ゾク

関連文章