中国の大学生の間で「イヌを借りて散歩」が人気に

2023-07-12 16:37:00

そよ風が心地よい夏の夕方、江蘇省蘇州市の金鶏湖では、普段はオーストラリアのメルボルン大学に留学している呉さんがイヌの散歩を楽しんでいた。呉さんは夏休みに帰国してから、ネットユーザーにイヌを借りて、すでに5回このような散歩を楽しんでいる。中国新聞網が報じた。

中国の若者の間では、イヌを借りて散歩するのがひそかに人気となっており、ネット上では「イヌを飼っている人がいたら、散歩させてほしい」、「今年の夏休みはイヌを借りて散歩を楽しむ」、「大学生たちに散歩させられて、全国のイヌが疲れている」といった投稿が目につくようになっている。無料でイヌを借り、散歩させるというのが、イヌを飼っている人と、飼いたくても飼えない人にとって、「ウィンウィン」の方法となっているのだ。SNS上では、「イヌの散歩代行します」というグループチャットに数百人が集まり、「引っ張りだこ」のイヌの場合、夏休み期間中のスケジュールがいっぱいになっているほどだ。

呉さんは、「ショート動画で、まわりの同年代の人がイヌを借りて散歩しているのを見て、すごくおもしろいと思った。そこで、コミュニティの微信(WeChat)のグループチャットでイヌを借りて散歩したいというメッセージを送信したところ、すぐに貸してくれるイヌの飼い主が見つかった。その後、その相手と身分証明書と学生証を確認し合って、イヌを散歩する時間やコース、頻度などを決めた。イヌの散歩のショート動画を作成したり、ライブ配信したりしてその散歩の様子も記録している」と話す。

ショート動画共有アプリ「抖音(中国版TikTok)」では現在、「大学生のイヌの散歩」というタイトルの動画の再生回数が合わせて20億4000万回に達している。また、ソーシャルコマースプラットフォーム「小紅書」や微博(ウェイボー)でも、「イヌを借りて散歩」関連の書き込みが多くなっている。中古品フリマアプリの「閑魚」は、「イヌを借りて散歩」の都市別人気ランキングを発表しており、江蘇省や湖北省などの都市がランクインしている。

あるネットユーザーは、「イヌを借りて散歩は『一石三鳥』。散歩させる人は、規則正しい生活ができ、ストレスを解消できるほか、ペットと一緒に過ごす時間が少ない飼い主の『申し訳ない気持ち』を埋めることができ、さらにはペットの身心の健康にもつながる」というコメントを寄せている。

南京大学社会学院の陳友華教授は、「ペットはすでに現代人の便利なソーシャルアイテムとなっている。多くの大学生が進学のストレスに直面しているほか、社会に出たばかりでストレスを感じている若者もいる。ペットに寄り添ったり、触れあったりすると、ストレス解消につながる。また、ペットの世話をすることで、若者は責任感を抱くことができるほか、ポジティブで前向きな気持ちになれる」との見方を示す。

ただ、法律関係者は、無料でイヌの散歩を代行することにはリスクもあると指摘する。例えば、互いに提示し合う身分証明書の真実性やプライバシー問題、安全の問題などがある。また借りたイヌが原因で誰かが怪我をしたり、ペットが熱中症になったり、迷子になったりするといった突発的なトラブルが発生する可能性もある。そのため、貸すほうも、借りるほうも、事前によく話し合い、証明書を確認し合い、リスクをきちんと説明しておくことが必要だ。双方の責任や義務について記した契約書を事前に交わすのがベストだと呼びかけている。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年7月12日

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