若者がネットで買う「心のサポート」 自習監督員や活入れ役など

2023-08-14 17:56:00

今年の夏休み、王暁宇さん(22)は「バーチャル自習室」で勉強し始めた。ここでは、同い年の100人以上の仲間と一緒に勉強することもできるし、「自習監督員」と動画でつながってマンツーマンで自習の監督をしてもらうこともできる。「中国青年報」が伝えた。

王さんは、「大学院の試験を受ける予定だが、夏休みに家にいるとだらだらしたり怠けたりしてしまうので、淘宝(タオバオ)で『クラウド監督員』を見つけて、自分の学習状況をオンラインで監督してもらうことにした。怠け癖を徐々に克服している」と話した。王さんは監督員に学習計画を細かく伝え、毎日必ず監督してもらうチェック体制をスタートしたという。

「穏やかなタイプと厳しいタイプとどちらがよいですか?」、「論文はどうなりましたか?」、「資料を読む時間が来ました」……監督員はこんな風に音声やテキストでチェックを行い、怠けたり、眠ったり、ゲームで遊んだりして課題が終わっていなければ、「活を入れる」役割も担う。

若者が求めるのは、操作が簡単ですぐに覚えられることだけでない。彼らは「寄り添ってくれる感じ」や「雰囲気」をより強く求めている。王さんによると、「自分を律する力が弱い人にとって、怠けたくなった時に、学習のパートナーや監督員がすぐに介入してくれるのはありがたい。上に引き上げてもらっているような感覚で、すぐに力がわいてくる」と言う。

それだけではなく、感情面に価値を見いだす若者たちはさまざまな新しいスタイルのバーチャル商品を生み出し、「癒やし経済」という独自の産業が生まれた。「心のはけ口になる木のうろ」という意味の「情感樹洞」や「恋愛でいっぱいの頭に活を入れる」という意味の「罵醒恋愛脳」など、わずかなお金で購入可能な心を整える「商品」がますます増え、ひいては若者の「副業」の新たな選択肢にもなっている。

姜楠さん(27)は昨年、若者の中に心が乱れてもどうしたらいいかわからない人がいることに気づき、「罵醒恋愛脳」サービスを提供するEC店舗を開設した。「恋愛にまつわる商品一つ一つの開発背景には、癒やしを感じてほしいという温かい気持ちがある」と言う。

姜さんは、「うちのサービスは、若い人に向けて精神的に消耗しないようにと伝えること、彼らにポジティブで楽観的な生活態度を身につけてもらうことが目的だ。注文が多い時は、100人以上の消費者にサービスを提供し、月の売り上げが1万元(約20万円)前後になる。心のはけ口役になる『アドバイス役』のほとんどは、現役の大学生かダブルワークの社会人だ」と言う。

姜さんは、「現代の若者は勉強や仕事、生活のストレスに直面しており、ネガティブな感情を抱きやすい。それにともなって、心理的なストレスの解消や心の健康の問題に対する若者の注目度が高まっている。さらに、若者が匿名のネットワークでの社交スタイルに慣れていることもあって、このビジネスが生まれた」という見方を示す。

劉琳さん(20)はこれまで何度も「心のはけ口」を求めて「情感樹洞」のサービスを購入したことがあり、「心がだめになりそうな時、自分が苦しい状態にあることは本当に誰にも知られたくない。でも、1人で泣いているのはとても孤独で、お金を払ってでも誰かに側にいて欲しくなる。『『心のはけ口』を得るためにお金を払うのは、自分で自分を救うのに似ている」という。

心理学の専門家によれば、こうしたバーチャル商品は若者に寄り添う人を提供し、不安を解消し、ポジティブな心理的アドバイスを与えるものだ。もちろん、こうした商品の「生産」に対して専門家は注意も促しており、「情感樹洞」のようなタイプの商品は標準化と製品力という点で長期的な運営が必要だと指摘する。盲盒(ブラインドボックス)を開けるように、どんな「アドバイス役」と出会うか、運を天に任せるようなものはだめだという。前出の劉さんについて言えば、これまで彼女の「アドバイス役」になったのは文学専攻の学生、心理学専攻の学生、心理カウンセリングを長年手がけてきた女性で、とてもラッキーだったと言えるだろう。こうしたラッキーなケースもあるが、バーチャル空間の「心のはけ口」になっているのは、実際には生身の人間であることをしっかり認識していなければならない。個人情報を明らかにしすぎたり、気軽に送金したり、オフラインで実際に会ったりすることは特に避けなければならない。(編集KS)

「人民網日本語版」2023年8月14日

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