野良猫に安心できる家を
段非平=文 VCG=写真
今年の元旦、重慶市南岸区南浜路にある放置された公園用地が、温かくも独特な形で新たな命を吹き込まれた。ここに新設された「蛍火虫港湾猫テーマパーク」(以下、パーク)が、600匹以上の野良猫に「自分の家」を与えたのである。
約3万平方㍍の敷地を持つこのパークには、いわゆる「かわいいペットのパフォーマンス」はなく、単なる猫と触れ合う楽しさを売りにもしていない。代わりに、「公益活動+ビジネス」という革新的なモデルを採用し、野良猫が長期的に安心して暮らせる自由な空間を創出すると同時に、都市の公共空間を人と動物が調和して共生する温かな場へと変えている。
救助の難題をどう解くか
野良猫の救助は、長年にわたり都市管理における難題の一つであった。『2024年中国ペット業界白書』によれば、中国には5000万匹以上の野良猫が存在し、その平均寿命はわずか2年余りで、飼い猫の5分の1にも満たない。こうした小さな命の多くは、飼育放棄により街頭へ流れ着いたり、事故によって重傷を負ったりしており、自身の生存危機に直面するだけでなく、都市の生態バランスや住民生活にも潜在的な影響を及ぼしている。

パークのオンライン動画部門責任者である王梓溱さんは、長年にわたり野良猫の公益救助に携わってきた。彼女によれば、現在国際的に主流となっているのは「TNR(Trap Neuter Release)」、すなわち捕獲・不妊去勢手術後に元の場所へ戻す方法であり、救助と同時に個体数の増加を抑制するものである。「しかし、この方法ではその後の生活を継続的に追跡することが難しく、治療を終えても再び危険な環境に戻ってしまう可能性があります」と彼女は指摘する。
さらに、救助活動そのもの以上に困難なのが、資金の持続可能性である。これまで野良猫の救助は、主に善意の個人による自発的な行動に依存し、チームメンバーの自己負担で支えられてきた。「収入が支出に追い付かない」のが多くの救助拠点の常態であるという。「多くの救助施設を見てきましたが、保護された動物の大半は狭い空間に閉じ込められ、自由に動けず、里親が見つかる可能性も極めて低いのです。チームも安定した収入がないため、それ以上の命を救う余力がありません。支出だけで収入がないモデルは、健全とは言えません」と彼女は語る。
こうした現実を背景に、チームは新たな可能性を模索し始めた。野良猫のための専用公園を建設し、比較的自由な生活空間を提供すると同時に、商業運営によって救助システムへ還元することで、公益活動を単なる「孤軍奮闘」ではなく、持続可能な事業へと転換できないか――。
最終的に、地元政府と企業の支援を受け、チームは南岸区の川沿いで緑豊かなこの放置用地を選定。2年にわたる準備を経て、構想はついに現実のものとなった。
人と猫が共に生きる温かな空間
パークに足を踏み入れると、随所に細やかな工夫が見て取れる。園内各所に設けられた「猫食堂」では、猫たちがいつでも健康的でおいしい食事にありつける。さらに、一部の猫用ハウスは来園者用のベンチと一体化しており、人が休憩する傍らで猫が安心してくつろぐことができる設計となっている。また、園内のフェンスには「内側に傾いた構造」と透明な仕切りが採用されており、猫が外へ出て危険にさらされるのを防ぐと同時に、来園者による無断の餌やりも抑制している。
現地運営責任者の胡佩雯さんによれば、現在パークには40人以上のスタッフが在籍しており、資格を持つ獣医師、飼育員、警備員、運営スタッフなどで構成されている。平均年齢は25歳で、いずれも猫を愛する人々である。
園内は医療エリア、来園者との交流エリア、そして「特別保護エリア」に分かれている。各地から保護された野良猫は、まず医療エリアで全面的な治療とワクチン接種を受ける。その後、健康状態や性格に応じて適切なエリアへと振り分けられる。活発で人懐こい猫は来園者との交流エリアで来客を迎え、高齢や虚弱、障害がある猫、あるいは繊細な性格の猫は、「特別保護エリア」で静かに余生を過ごすことができるのである。
パークでは、全ての猫に対して詳細な電子カルテも作成している。年齢や健康状態、性格の特徴、そして保護に至るまでのストーリーが記録されており、来園者は園内のオンラインミニプログラムを通じて、それぞれの猫の過去を知ることができる。この透明性の高い記録によって、来園者と猫との一つ一つの触れ合いに、より深い理解と愛着が生まれているのである。
相互に癒やし合う関係
開園以来、パークの人気はチームの予想を大きく上回り、最多で1日当たり8000人を超える来園者を記録した。全国各地から猫好きが足を運び、ここでの「優しい出会い」を求めて訪れている。
猫へのストレスを軽減するため、園内には明確なルールが設けられている。6歳未満の児童は入園禁止、7~16歳は保護者同伴が必要であるほか、来園前には必ず触れ合いに関する注意事項を確認しなければならない。園内では飼育員が常時巡回し、不適切な接触行為を速やかに制止する。また、来園者による持ち込み食品の給餌は禁止されており、誤食による体調不良を防いでいる。これらの規定の根底にあるのは、一匹一匹の猫への尊重である――多くの猫が過去に傷を負っており、十分な寛容さと優しさを持って見守られるべき存在だからだ。
園内では、癒やしに満ちた光景が至る所で見られる。茶トラ猫は石段にのんびりと寝そべり、来園者の優しい手に身を委ねる。キジトラ猫は人の足元にまとわりつき、甘えるようにすり寄る。三毛猫は抱き上げられ、柔らかな喉鳴らしを響かせる。来園者たちは、園内で提供されるおやつを慎重に与えたり、しゃがみ込んで静かに声をかけたり、スマートフォンで愛らしい瞬間を記録したりする。そのひとときの安らぎと温もりは、多くの人にとって忙しい日常の中で最も求めている癒やしなのかもしれない。

オランダから来たメリサさんとデンマーク出身のラウラさんは、インターネットでこのパークを知り、わざわざ重慶まで足を運んだ。芝生にしゃがみ込み、猫たちを優しくなでながら、「川辺の公園でこれほど多くの野良猫を受け入れ、しかもここまで整った救助体制があるなんて、猫にとってはまるで天国のようです」と語った。また、成都在住の何さんも休暇のたびに訪れており、「ここでは全ての猫が温かく受け入れられていて、この町の優しさを感じることができます」と話す。
一方で、猫の世話をするスタッフたちもまた、その過程で大きな癒やしと支えを得ている。小さな命のたくましさは、彼らの心を静かに癒やしているのである。王さんは、「ほとんど生き延びられないと思われた猫」を数多く見てきた。額に骨が見えるほどの傷を負った猫、全身に重度のやけどを負った猫、交通事故で両目を失った猫――いずれも深い苦しみを経験しながら、それでも前向きに生き、人を信じている。「その強さは、動物保護の意味をより深く理解させてくれると同時に、自分が生きていく力にもなっています」と彼女は語る。
また、胡さんも、一匹のキジトラ猫に心を動かされた。この猫はいつも最後まで食事を待つ、いわば「礼儀正しすぎる」性格をしており、最終的に彼女自身が引き取り、その優しさに居場所を与えたのである。
来園者の増加は、新たな課題ももたらしている。本来、胡さんが思い描いていた「人と猫が静かに寄り添う空間」は、時に「猫よりも人の方が多い」にぎわいによって崩されることもある。しかし、それでも彼女が安堵しているのは、かつては「子どもが引っかかれるのが怖い」といった理由で地域住民から苦情が寄せられ、保護に回された猫たちがいた一方で、開園後には多くの親が子どもを連れて訪れ、「恐れて距離を置くのではなく、どうすれば正しく共に過ごせるかを学ぼうとしている」姿が見られるようになったことである。これこそが、チームがこのパークを築いた本来の目的の一つでもあった。
「再び捨てられること」を防ぐ
野良猫に「永遠の家」を与えること――それがこのパークの最終的な目標である。開園以来、すでに数十匹の猫が園内の譲渡制度を通じて新たな家庭へと迎えられている。そして、厳格に定められた譲渡基準は、その一つ一つが「双方向の選択」となるよう設計されており、再び捨てられることを防ぐためのものである。
パークでは、来園者がオンラインのミニプログラム上の情報だけで猫を選ぶことは認められていない。必ず現地に足を運び、時間をかけて実際に猫と向き合い、触れ合い、その性格を理解した上で相性を確かめてから、ようやく譲渡申請を行うことができるのである。この規定は、チームが現場で得た経験に基づいている。園内の多くの猫が過去に飼育放棄を経験しており、集団環境に入った後、適応障害を示す個体も少なくないからだ。胡さんは、かつて一匹のゴールデンシェーデッドの猫に出会ったことがある。入園後、長期間ほかの猫となじめず、「なぜ自分がここにいるのか理解できていないかのように」見え、明らかな抑うつ状態を示していたという。スタッフが長い時間をかけて寄り添い、安心させることで、ようやく少しずつ環境に適応していった。
「園内で時間をかけて猫を探し、理解しようとすること自体が、里親と猫の双方に対する選別になっています」と胡さんは語る。この過程を経ることで、里親は猫の性格やニーズを真に理解し、猫もまた人間の善意を感じ取ることができる。「こうした関係性の土台があってこそ、共に過ごす時間は長くなり、再び捨てられるリスクも最大限に抑えられるのです」
さらに、対面での触れ合いに加え、パークでは厳格な審査基準とアフターフォロー体制も整えている。里親は公印付きの在職証明や固定住所の証明を提出し、加えて家族または同居人を監督者および緊急連絡先として登録する必要がある。譲渡後も1年間にわたり不定期の訪問・確認が行われ、虐待や遺棄が発覚した場合には、法務チームが責任を追及し、猫を回収するとともに当該里親はブラックリストに登録される。こうした厳格なルールは、ハードルを設けるためではなく、全ての猫が大切に扱われ、「二度と流浪しないための家」を得るためのものである。
来園者の中には、猫との触れ合いを通じて深い愛情を抱くようになる人も少なくない。若い夫婦が園内で三毛猫と日々を共にするうちに家族として迎え入れることを決めた例や、一人暮らしの高齢者が穏やかな茶トラ猫に心を動かされ、互いの生活に寄り添いを見いだした例もある。一つ一つの譲渡は、温もりの連鎖であり、パークはその始まりの場となっている。
公益とビジネスの新たな可能性
このパークは、野良猫に居場所を提供するだけでなく、「公益活動+ビジネス」という新たな救助モデルを切り開いた。公益活動を単なる「資金を消費するもの」から、自ら収益を生み出し持続可能に運営される仕組みへと転換しているのである。

従来の救助施設が寄付や物資提供に依存していたのに対し、パークは寄付や物資支援、ボランティアの募集を行わない。その代わり、入園料(19・9元で猫用おやつ1本付き、追加は1本2元)や、園内の商業テナント(カフェやドリンクショップなど)の賃料収入によって、猫の飼育・医療費やスタッフの給与といった運営コストを賄っている。胡さんは、「全ての収益は野良猫の救助と園の運営に充てられます。パークの持続可能性を確保してこそ、より多くの猫を救うことができます」と語る。
このモデルは、都市の遊休空間の再活用にもつながっている。南岸区の放置されていた公園用地は、パークの誕生によって生命力と善意に満ちた公共空間へと生まれ変わった。野良猫の保護という課題を解決すると同時に、市民や観光客にとって心を癒やす場ともなり、都市再生と動物保護の双方にとって有益な成果を生み出している。
開園後、改善すべき点も少なからず見つかっているが、チームを励ましているのは、この取り組みに対する社会的関心の高まりである。全国各地の動物保護団体や文化・観光部門が視察や意見交換のために訪れ、この新たな公益モデルは、業界内外で徐々に認知と評価を得つつある。胡さんはこう語る。「これはまだ始まりにすぎません。動物保護の道のりは長く、責任も重い。しかし、善意を出発点とするならば、必ず共に歩む人が増え、より多くの命が優しく守られると信じています」
蛍火虫港湾猫テーマパークは、一筋の光のように、野良猫の帰る場所を照らし出すと同時に、都市に宿る善意をも照らしている。ここでは、数百匹の猫が流浪の日々に別れを告げ、自由とぬくもりに満ちた暮らしを手に入れた。ここでは、人と猫が優しく寄り添い、善意と尊重が静かに時を流れていく。そしてここでは、公益とビジネスが共存し、命を守るという初心が持続的に受け継がれている。このパークの存在は、都市の温かさとは何かを私たちに問い掛けている――それは高層ビルの輝きの中にだけあるのではなく、あらゆる命を受け入れ、守ろうとする姿勢の中にこそ宿るのだと。善意が日常となるとき、全ての命は光の下で穏やかに花開くことができるのである。
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