人間として真剣に生きていく

2023-12-06 16:03:00

霍平羊  三江学院  

 

高校二年の時、初めて『嫌われ松子の一生』という映画を見た。ヒロインである松子の悲惨な一生に、私は感慨に沈んだ。その時の胸の動悸は今でも覚えている。音楽の教師だった松子は、お金を盗んだ容疑のあった生徒の龍を保護するため、学校を辞職させられた。それは松子の不順な一生の始まりとなった。彼女は何人とも恋愛したが、全部不毛な恋となった。いい思いどころか、稼いだお金を貢いでいた恋人でもあるヒモ男を殺してしまい、懲役8年の刑に処された。最後、53歳松子の死体は川のほとりで発見された。中学生に野球のバットで殺されたのだ。

夏休みに偶然にインターネットで見つけて、懐かしくなり二度目を見た。私はどんな人生を生きたいのか、どうすれば生きられるのだろうか?映画について、いろいろ考えさせられた。

松子には重い病気の姉がいて、小さい時から自分の考えや希望はいつも父に無視され、結婚することまで父に姉の気持ちを考えて言うべからずと怒鳴れた。その経験から、恋人に暴力を振るわれても、だまされても、次々恋に落ちた。「殴られても、殺されても、独りぼっちよりはましだ」、「一人じゃなくなればどうでもいい」と松子が思ったように、誰か男と恋するのは、一人になりなくないからなのだ。

実は松子は家族の皆に愛されている。友達のめぐみにも愛されているのだ。松子が何回も「私の人生はこれで終わった」と思っても、立ち直って生き続けていくことができるのはそのためだと思う。彼女が死ぬ前のシーンでは、めぐみの名刺を見つけたあと、胸を張って光に向けて大股で歩く姿が本当に眩しいのだ。私はこういう輝かしく、人生を真剣に生きる姿の松子が好きになった。恋するたびに、彼女は全身全霊で相手を愛している。恋人の作家と恋したときは、いくら殴られても、生活に困り水商売をさせられても、連絡を絶った兄に借金しても、離れようとは思わなかった。美容師と出会ってから、松子は幸福のあまりに歌いながら家事をしていた。刑務所にいても、美容師の妻になるという夢を持ち、美容師の資格を取った。彼女の心には光がある。自分がまだできると自信をもったからこそ、深夜まで野球をやっている中学生たちに「早く家に帰りなさい」と注意できた。

松子の一生は嫌われる一生というより、むしろ愛を追求しつつけて、勇敢な一生だと言える。実生活において、私たち人間は誰もが松子のように、生活に打ちのめされ、絶望しては、希望に燃えて、また絶望してまた希望に燃えて、生きていくのだ。

人生はいつも順調ではない。起伏があってこそ人生といえるのだ。「生活は私を苦しめても、私は初恋ごとく生活を愛している」といつも冗談のように言っているが、周りが暗くても、私たちは光を探し、追い、生きていったらどうだろう。松子が死ぬまで希望を失わないでいる。我々は、一時の迷いや気落ちでもかまないが、すぐ立ち直って、今のことを大切にしながら、未来への希望を抱いて、光を向いて大股で歩いて行こう。

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