自信を持って進んでください
劉婧鎏 西南交通大学
最近、太宰治先生の『千代女』を読み終えた。長い間、心が落ち着かない。それば、この小説の多くが私の心に深く響くからだと思う。では、もう少し詳しく説明しましょう。
太宰治先生は、文学少女の転落を一人称の視点から描いている。叔父の柏木に触発されて原稿を書き、「文才がある」と高い評価を受けて育った和子。しかし、家族のプレッシャー、叔父の期待、夫の賞賛、同級生のささやき、教師のファンファーレの中で、和子はますます劣等感を募らせ、ついには皆の期待に応えられず、文才を失ったとみなされる。
私は昔から自信のない女の子で、親から「もっと自信があれば」といつもどうしようもない文句を言われてきた。だから、『千代女』の和子の告白「女は、やっぱり、駄目なものなのね。女のうちでも、私という女ひとりが、だめなのかも知れませんけれども、つくづく私は、自分を駄目だと思います」を読んだとき、理解されているという実感がある。
高校2年生のとき、クラスで学級委員の公募があったのを覚えている。私はもともと地理に興味があったので、どうしても地理代表になりたかった。しかし、担任の先生から「地理代表に立候補したい人は、教壇に上がってください」と言われたとき「私はためらしい」、「私は地理に向いているのだろうか?」、「私は地理が得意なのだろうか?」、「私には地理の才能はない。」そしてついに、「たぶん無理だ 」という結論に達した。結局、壇上で輝く学生たちをぼんやりと見つめ、彼らが堂々と自己紹介するのを眺めながら、参加すらできなかった私は、最初から可能性を失っていた。自分を責めたが、このようなことは今までの人生で数え切れないほどあった。
そして、私に変化をもたらしてくれた人は、その直後に奇跡的に現れた。2年生のときの地理の先生——易先生だった。彼女は私が立候補を希望していることに気づいていたようで、あるいは私を地理が好きを感じ取っていたのかもしれない。彼女は授業中、質問に積極的に答え、テストでいい点を取ると笑顔で親指を立てて励ましてくれた。やがて彼女は、「あなたは素晴らしいのだから、自信を持って進みなさい!」と言ってくれた。この言葉は、高校を卒業して何年も経った今でも、私の脳裏に鮮明に覚えている。この自信こそが、私がこれまでしてきたすべての選択、すべての挑戦、すべての成果、そしてユニークな人間になった理由なのだ。
「 女性に対する時代の制約」という観点からの『千代女』評を多く見かけるが、ごく個人的な観点から勝手な感想を述べたい。和子には、この自信が足りないのだと思う。すでに若干の劣等感を抱いている和子は、外圧という巨大な網の目の下で、ますます自信を失っていく。「親不孝者」「役立たず」というレッテルが和子自身に貼られ、自信を失い、傷つきたいと思うようになり、再びペンを取ったときには、すっかり字が書けなくなっていた。タバコの箱と韓国人の親切を記録した注意深い少女は、長い間黙っていたため、声を出すのが怖くて出せなくなってしまったのだ。
和子が「自信を持って進んで」いれば、「岩見さんには自分を見捨てないでほしい」というような無念な結末にはならなかったと思う!というわけで、自信のないすべての人に言いたい「自信を持って進みなさい、あなたは唯一無二のスターなのだから。」