高齢化社会に生きる私たち

2023-12-06 16:47:00

趙健翔  北京林業大学  

 

2022年9月、コロナの影響は秋の訪れと共に、夏の猛暑と一緒に消えていった。日本もついに入国制限を緩和し、私のような日本語専攻の学生が日本本土で学ぶことができるようになった。幸いなことに、私は日本へ行けただけでなく、早稲田大学への交換留学が決まった。秋晴れの中、北京から海峡を越えて、やっと東京に着いた。

日本に行く前に、柴田久美子が書いた『みとりし』を母の勧めで読んだ。私の心の琴線に触れたのは、「人生の終わり方」に対する理解だった。近年、わずか数年の延命のために、無数のカテーテルや呼吸器と一緒に繋がれて白いベッドに釘付けにされた人が多い。その姿は、朽木が真っ白な雪に落ちたようだ。簡単な延命よりも、質の高い老後生活を実現することがより重要ではないか。私たちは自ら尊厳と体面を持って人生を終えることができているのか?このような観点から、私は日本の高齢者の福祉を理解したくなった。

早稲田大学に入ってから、家髙将明や市川熹などの学者数人の文章を読んで、私は日本の高齢者福祉について大まかに理解した。日本は1970年から高齢化社会に入り、時間が進むにつれて、高齢化は猛獣のように日本の社会システムを蝕み始めた。近年、「超高齢社会」という言葉も登場し、高齢化が日本の焦眉の急となっていることを意味している。統計によると、日本は2021年に65歳以上の人口が3621万人に達し、総人口比の28.9%を占めている。このような驚くべきデータの背後には3.5人に1人の高齢者がいることが示されている。日本は第二次世界大戦後から急速に人口が増加し始めたが、2008年にピークに達した後に減少し始め、長期的な人口減少を経験した後、日本の人口構造は「三分化」を呈し、このような不健全な人口構造は日本社会にかつてない圧力をもたらした。この問題を解決するために、日本は法制度に工夫を凝らしていると言える。「介護保険法」や「老人福祉法」、高齢者の福祉を支援する一連の法案のほか、細やかな人材育成制度もある。ますます深刻化する高齢化問題を解決するために多方面から着手した。また、認知症などの高齢者に対する人権保障のため、虐待防止策も急がれている。

1年近くの交換留学は短いが、日本での研究生活を経て、高齢者福祉をテーマとする論文を完成させ、中国で発表することになった。中日両国の高齢化問題に関する基礎研究を通じて、日本だけでなく、中国にとっても高齢化は無視できない社会問題だと気づいた。そして、日本の高齢化問題への対応は中国にとって非常に参考になると思われるため、両国の各方面の交流を強化することが中日両国の高齢化問題の解決に役立ち、中国に適した養老モデルを見つけることができると確信している。世界に目を向けると、高齢化は中日両国だけの問題ではない。高齢化に対する研究は世界の高齢者に幸福をもたらし、このような世界的な社会問題を緩和させることができると私は信じている。

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