あなたを愛した人を忘れない 国境を越えた人と動物の的なつながり

2023-12-07 12:01:00

盧佳鈺  大連外国語大学

 

「犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ」。日本にはこんなことわざがあります。犬の忠誠心についてはよく言われることですが、その感情を実感したことがありません。しかし、1987年の『ハチ公物語』という映画を見て、犬と人間の感情のつながりを痛切に感じました。

物語は、激しく大量に降る雪の日に、秋田県の一室で秋田犬が誕生したことから始まります。「前足を八の字にぐんと踏ん張ってなあ、ハチというか」という言葉で命名されました。その後、ハチは毎朝上野教授を駅まで送り、夕方も駅で主人の帰りを待つようになりました。教授が死んでからも、ハチは晴雨にかかわらず決行して駅まで待っていました。ハチは十年間にわたって毎日駅に行って待っていました。

ハチは秋田犬として、日本ならではの精神を見せているように感じました。大切な人に対する忠実な生き様は、実に日本的な価値観を体現しています。人から受けた恩を忘れることができず、できる限りの恩返しをします。その執着にも似たこだわりは経験した人は驚きと戸惑いを感じると思います。私にとっては当たり前のことだと思うことでも、「あの時はありがとう」「これはお礼です」と後になっても必ず何かが返ってきます。

中国の伝統文化の中にも、それに似た価値観があります。「信」というのは、人と人との約束は決して破ることのできないことだという考えです。ハチと主人の無言の約束は、ハチにとっては、一生守る価値があることなのです。

現代社会は急速に発展しているため、中日両国の人々は、仕事や義務といった責任とは違う、心と心の繋がりを守ることの大切さが薄れてきています。この古い作品に世界中の人々が心を打たれるのは、時は流れても、この輝きは変わることなく永遠のものだからです。

映画のエンディングはハチの空想でした。桜の真っ盛りの場所で、上野教授がハチを抱き上げる場面です。これはハチが十年間待ちに待ったことです。

感動したというだけでなく、信念の強さも私は感じ取りました。忠義だけのことではありません。たとえ途中で困難に遭ったり諦めそうになったりしても、自身が決めたことならやり遂げられると信じることが大切だと思います。もしかしたら、それは叶わないことかもしれません。それでも、自分が思い描いた理想に向かっていく姿は美しいと思います。

私は日本語学習者であり、日本の文化に熱中している一人として、日本で旅行をすることや今より多くの日本人と交流する機会があるでしょう。その時にも文化の違い等の壁にぶつかるかもしれませんが、理想的な場面を描き切るまで努力を続けていきます。

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