愛と希望の魔法~『老いる勇気』を読んで~

2023-12-07 12:06:00

王岩  吉林財経大学  

 

二十歳の誕生日、友人から『老いる勇気 これからの人生をどういきるか』という本をプレゼントされ、私はタイトルへの驚きと好奇心にわくわくしながら読み始めた。この作品は作者が両親の介護を通して感じたことを語ったものである。冒頭で老いがもたらす身体の変化と老化による気持ちの変化が客観的に述べられ、どのように老いと向き合うべきかと私たちに問いかけている。最も印象深かったのは作者の母親が脳梗塞で倒れても、新しいことへの挑戦を諦めず、病床でドイツ語を独学で学び始めたことだ。どんな状況下でも、可能性を制限しないということは私に老化と病気の苦しみと戦いながらも生活を豊かにできることを教えてくれた。

この作品に感化され始めていたころ、私はまたあるお婆さんに出会った。大切な書類のコピーを忘れていたことを思い出し、慌てて印刷屋に向かった。店に着くと、入り口で何人かの老人が笑顔で談笑しているのが目に入ったが、それを横目に店に入った。しかし、店の中には誰もいない。おかしいなあと思っていると、若々しいファッションのお婆さんがにこにこしながら私に近づき、「何かコピーしたいの?」と言った。彼女はWechatでお店のQRコードをスキャンするように言うと、パソコンに向かった。時々、キーボードのアルファベットが見えづらいようで、老眼鏡をかけてピンインを口にしながらゆっくりとタイプし、もうほとんど真っ白な髪をきれいに整え、腰を伸ばして真剣にパソコンを操作している。その後ろ姿に、私は『老いる勇気』に登場するお母さんが思い出されて高まる気持ちが抑えられなくなった。プリントアウトが済むと、お婆さんは優しい笑みを浮かべ、「さようなら。」と言い、軽い足取りで友人達の所に戻っていった。私は帰り道に、この出来事を思い出して思いを巡らした。

『老いる勇気』は若者にどう生きるべきかを教えてくれる道しるべだ。そして、それを実践しているかのような老人との出会いから、私は年を重ねることの持つ多くのポジティブな側面を発見することができた。例えば、経験は年齢に比例すること、若い時にどうしても理解できなかったことが受け入れられるようになること、心がおおらかになり、余裕を持って毎日を楽しめるようになっていくことだ。私は老いに恐怖を感じ、晩年は周囲に迷惑をかけ、生活はうんとつまらなくなってしまうだろうといつも心配していた。しかし、今は自分が年を取ることが少し楽しみであるし、年老いた自分を受け入れる自信がある。

私はこの作品を通し自分の人生に対する態度を改めることができた。人生には最高の年齢など存在せず、あるのは自分と正面から向き合う心だけだ。もう自分の年齢を気にしたり、老いを感じても嘆いたりしない。自分の存在価値を認め、自分が心からしたいことを見つけ、実行に移す。そして、日常生活の中の一瞬の風景や一期一会を大切にする。私は元気で明るく人生の一ページ、一ページを楽しんでいきたいと思う。

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