理想と現実

2023-12-07 14:20:00

彭薇薇 河北北方学院  

 

また親に、大学院を卒業して地元の小中学校で教師になれと言われた。父が言うには、現在、中国では毎年卒業する大学生の数が増えていて、ここ数年大学生の就職情勢は厳しく、競争は激しいのだそうだ。故に、親の目が届く範囲で安定した職に就くのが一番なのだというのが最大の理由だ。私は今まで親や先生の言うことを聞いて生きてきた。人の目ばかりを気にしてきた。しかし、自分で何かを決めてやりたい。自分らしく生きたい。卒業したら自分の力で自分の洋服屋を開いたい。

今では学歴が重視されているためここ数年大学生の数が急増している。2023年には1158万人の大学生が卒業し、今年の北京市内の修士卒業生と博士卒業生は初めて本科卒業生の数を上回った。そして、今年の大学新卒者の失業率は20%に達した。増え続ける大卒者と失業率の歪は、四年生大学を卒業する私達学生の就職を更に困難にしている。一方で起業も容易ではない。知乎のデータに拠ると2023年に倒産した企業は46万社にも上るそうだ。そして、アパレル業界もコロナの影響で、多くの店がオンライン販売に移行している。実体経済は厳しくなっているのは両親の会話以外からもわかる。だから、今洋服屋を開くのも容易ではない。

私の夢の種が芽を出さないうちに枯れていくような気がした。両親の私に対する将来図と知乎のデータが私の夢を実現への道のりをますます困難にするのを感じた。まさか私の夢は本当に実現できるのだろうか。そんな時に『凪のお暇』に出会った。

このドラマは主人公の大島凪が周囲の雑音に翻弄されながら、夢の自分ののコイン・ランドリーの店を開くまでの物語だ。私は素直に大島に共感した。見始めてから彼女のその後の行動を期待せずにはいられなかった。大島が店を開くために貯めたお金を、母親の家のリフォームに使われるのを拒否したのを見て、私は嬉しかった。大島は自分が仕事を辞めたことを母親に知られて、母親の期待を裏切らないか心配している姿やご近所に自分が親の期待を裏切った子だと陰口を叩かれないか心配している姿は、今の自分に思えて仕方なかった。大島は未来の私と同じだと思った。また、劇中で大島とその友達との会話の中の台詞にこんなのがあった。「(前略)前の職場は妥協して磨り減るだけだったんで、次の職場は絶対に失敗したくないんです。もう自分に嘘ついて働きたくない」。私は身が引き締まる思いがした。大島が自分の夢を貫き通すのを見て私も励まされた。

「コインランドリーのチェーン展開をしている会社で修業しながらお金を貯めようと思いまして」。この言葉に大島の夢を追う強さを感じた。「坂本さんとの夢、やっぱり諦めたくなくて」。大島が友人の坂本と夢を追う姿を見て、私に多くのヒントを与えてくれた。この言葉に込められた強い意志が私の背中を押し、力を与えてくれた。私も周囲の雑音に惑わされず彼女のように勇敢を持って夢を追い続けることにした。

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