老いと死を恐れない美しい人生

2023-12-06 15:03:00

 蘇竟月  北方工業大学  

 

数日前、友人と死生観について話した。しかし、誰もが最終的に死ぬ以上、私たちの今の人生は何の意味があるのだろうかと疑問を抱いた。

それで、私は先日見た日本の映画『人生フルーツ』を頭の中に思い浮かべた。一生連れ添った夫婦の二人、90歳の津端修一と87歳の妻英子の老後の生活を描いた映画だ。修一は建築家で、会社を辞めた後、妻と一緒に自分が建てた平屋に住んでいた。二人は庭にいろいろな果物や野菜を植えて世話をし、実が熟すとさまざまな美食やスイーツを作る。夫婦二人は質素な生活をしているが、そこからは老いぼれのような生活の窮状は見えず、かえって温かみを感じさせた。

「風が吹けば、枯葉が落ちる。枯葉が落ちれば、土が肥える。土が肥えれば、果実が実る。こつこつ、ゆっくり。人生、フルーツ。」二人は映画の中で繰り返されているその言葉のように時をためて、ゆっくり生きている。長い人生の中で、青春の私たちは人生の初めに着いたばかりで、人生の果実はまだ結んでいないので、勝手に人生の意味を否定するべきではない。たとえ私たちはいつか老いて死んでも、恐れずにゆっくりと生き、今の美しい人生を大切にしてこそ、人生は意味がある。

映画の終わりに近づいた頃、誰もが思わぬことが起こった。修一が亡くなった。しかし、画面の中で修一は静かに眠っているように見える。私はこの場面にとても感動し、同時に死への恐怖は一瞬にして消えた。なぜならば、私は村の葬式を見たことがあり、亡くなったお年寄りの家族は戻ってきて泣き叫んで、声だけ出して自分の悲しみと親孝行を他人に表現する。しかし、それは本当の親孝行ではないと思う。そのような泣き声を聞くと恐れしか感じない。逆に、修一の死が静かで、恐れがなく美しかったと思う。英子は自分は少なくとも泣かないようにすると言い、修一のそばにいて彼の顔を撫でながら「待ってて、私が命を尽きて灰になったら、一緒に南太平洋を回ってもらおうね。」と言った。人間は自分を後悔させないような一生を過ごし、静かに去るのは素晴らしいことではないか。英子はそれまでの生活を続け、毎日彼の好きなご飯を作って位牌の前に並べ、二人が育てた果実を家族や友人に分け与え、二人の家を守り続けた。

『人生フルーツ』は私に素晴らしい人生を過ごした夫婦二人の生活を見せてくれた。二人の真剣な生活態度は私に老いと死を恐れなくさせ、ゆっくりと生き、できる限りのことをし、人生に意味がある。一人の本当の死は、彼がすべての人に忘れられた時だ。英子は修一のことを忘れない、私も彼らのしっかりと生きた美しい人生を一生忘れない。この賑やかな社会で生きている我々は生活を癒すためにはしっかりとした生活の美しさが必要だ。それで、人生はだんだん美しくなる。

関連文章