新しい芽

2023-12-07 15:18:00

高級熙  安徽財経大学  

 

秋雨一過、しっとりとした空気は金木犀の豊かな香りで満たされていた。散歩をしていて、ペットと一緒に埋めた穀物が芽を出していることに気づいた。空き地には青々とした若草が群生し、秋の荒々しさに似合わぬ生命力を感じさせた。若葉にそっと触れると、鳥の羽をなでるような繊細で柔らかい感触がした。家に帰って「誤解される日本人」を開くと、「世界遺産となった原爆ドームは、草を奪われたのではなく、まばゆいばかりの新緑に彩られている。」という一文があった。たちまち目の前に草が現れ、本の中の岩のドームの光景に変わった。この瞬間、私は著者に共感した。

野島剛のこの本は本当に深い体験である。日本に対する一般的な固定観念を払拭し、中国と日本の様々な面での切っても切れないつながりと違いを体験することができた。

大学で日本語を専攻している私は、中国と日本の文化交流にもっと注目せずにはいられない。あるブロガーが投稿した唐菓子の宣伝動画で、一部の中国メディアが和菓子を中国の伝統菓子と認定している誤りを指摘する記事があった。それに対して「どうせ日本が中国から習ったんだろ」といったコメントが寄せられたのは衝撃的だった。実際、大学に進学しなかった頃、私は中国の伝統文化をただ知っていただけで、自分の知識の限界に傲慢になり、日本文化は中国文化の付属物にすぎないと当然のように思っていた。これらのコメントを読むと、当時の無知な自分を見たような気がした。しかし、私がショックを受けたのは、数年経っても、中国文化と日本文化の基本的な知識が向上せず、彼らの主張も変わっていない人がいることだった。

人々はいつも、秋はどうしても悲しいものだと考えているが、秋には「晴天の鶴が雲を漕ぎ登り、詩情を青空に導く」という力もあることを忘れている。また、中国と日本の多くの人々も、歴史的な理由やメディアの誘導によって、互いの文化の違いを無視し、互いの心の良さを忘れている。しかし、野島氏が著書の中で述べているように、「中日両国は1500年以上の歴史があり、長い間文化交流をしてきた。対立や抗争を超え、誤解を減らすためには、文化交流の原点に立ち返るべきだ。」「爆笑」が日本から中国に伝わり流行語になったように、「爆買」は近年中国から日本に伝わった言葉であった。また、中国の歴史上の人物である諸葛亮孔明が現代日本に活躍する姿を描く物語の「パリピ孔明」も、日中双方で人気を博していた。

かつて習近平総書記は「文明は多様であり、多様であるからこそ、人類の文明は交流と相互理解という価値を持ち、文明は寛容であり、寛容であるからこそ、人類の文明は交流と相互理解という動機を持つ。」と言った。私たちは日本語学習者として、文明の交流・学び合いを深め、アジア運命共同体を共に構築しよう。素朴な人文交流の原点に立ち返り、障壁、偏見、憎悪を取り除き、相互交流文化の土壌が次々と新しい芽を育てていくようにしたい。

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