自分を見つめ、自分を成長させる

2023-12-07 16:14:00

張尹娜  大連海事大学  

 

牛車に閉じ込められていたのは、なんと自分の娘だった。そこで、良秀は可愛がっていた娘が燃え盛る火に焼死するのを見ていた。

初めて「地獄変」を見たときの驚きを思い出し、芥川の人間性への心遣いの深さにもしみじみと感じた。

卒業を前にして、いや、卒業論文だけではなく、私はこれからも芥川龍之介を研究し続けたい。そのような思いから、再び「地獄変」を見直した。

『地獄変』の中の絵師良秀は吝嗇で醜い人だ。ある日、堀川大公は良秀に「地獄変」という屏風を描かせた。半年後、屏風の大部分は完成したが、肝心な部分だけ描かない。その時、良秀は大公に火災を起こし、華やかな身なりの女性を車内に閉じ込めて生きたまま焼死させてほしいと頼んだ。このような残酷な場面を目の当たりにしてこそ、作品の核心部分が完成できるというのだ。

大公は彼の頼みを承諾し、数日後、良秀は現場に火災を見学しに行った。火をつけた時、彼は車内にいる人が自分の娘ということ知った。良秀は慌てで悲しんだが、火が大きくなるにつれて、良秀はかえって冷静で愉快な表情を見せた。火災の後、良秀は地獄変屏風を完成させたが、翌日自殺した。

このような結果はとてもやるせない。これは地獄ではないかと思わずにはいられなかった。

芥川は批判的な目で良秀を見ていた。このような虫がいい人にも良い面があった。実は彼は自分の娘をとてもかわいがっていた。

また芥川は良秀であるともいえる。彼は才能があって、若くて有名で、そして多くの人にうらやましがられている。しかし、彼の家庭は彼に一生の不幸をもたらした。そしてそのすべてが、彼を自分自身になったのだ。

実際のところ、私たち、みな良秀ではないだろうか。

ある友人を思い出し、本を閉じて、思いを馳せた。その友人は小柄だが、スポーツはいい。中学時代は陸上部とバレーボール部の部員だった。彼女は父親に体育学校に行きたい、選手になりたいと言ったが、体育学校は勉強のできない人だけが行くのだと父親が答えた。彼女は父親が体育学校に行かせたくないことを知っていたので、彼女は一心に勉強した。高校生になると、バレーボールチームの監督が彼女を見つけて試合に行かせたが、自分が勉強と試合のバランスが取れるかどうか迷っていたので、先生の誘いを断った。大学に入った後、彼女は高校の試合に参加しなかったことを後悔した。試合に参加すれば、バレーボールのレベルを高めることができた。今考えると、バレーボールが勉強には何の影響も出なかったのではないかと。

私は彼女が自分の生まれ持った能力を無駄にしたことに心を痛めている。今私にできることは、未来の私が後悔するようなことがないように、自分のやれることをやるだけだ。そして自分を常に見つめよう。「吾日三省吾身」と言うように、内省をすることで自分を成長させよう。

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