「look back」

2023-12-07 16:15:00

王喆  江蘇海洋大学  

 

私が一番好きな日本の本といえば、藤本樹さんの漫画『look back』である。

この物語には二つの世界線がある。

主人公の藤野は小学校から漫画を描き始めた。絵を描くことが得意ではなかったが、ストーリーが面白かったから学校の新聞で自分のコラムを持っていた。ある日、彼女には京本というライバルが現れた。しかも、その京本は自分よりも遥かに絵を描くことが上手だった。頑張っても京本に追い付かなかった藤野は漫画をあきらめようとした。その後、先生は藤野に京本に宿題を届けに行かせた。藤野はずっと後ろ姿で漫画を描いていた京本に漫画で「look back」と呼びかけた。そして京本は実は人見知りで漫画一筋、その上自分の忠実なファンであることを知った。2人は打ち解けて、協力して有名な漫画を作った。その後、京本は大学に行くことを選んだが、殺人魔に殺害された。藤野は自分の一言で外の世界へ踏み出した京本の死で自分を責め続けていた。

しかし、また別の並行世界では…藤野は漫画をそのまま諦め空手道に転じたが、二人は知り合いにならず、京本はやはり大学生になった。そして殺人魔もやはり現れたが、そこを偶然通りかかった藤野が空手道で京本を救った。二人が言葉を交わす中で、藤野は自分が小学校の時に憧れていた漫画の担当者だったと京本は思い出した。助かった京本は家に帰り藤野を真似してその日の出来事を漫画に描いた…と同時に、元の世界で京本の死で悲しんでいた藤野の前に、藤野が悪党を倒したことが描いてある漫画が落ちてきた…非常に幻想的な色彩を持つ展開となった。

この漫画で最も印象的だったのは藤本樹さんの作画だ。藤野が全力で絵の練習をしているところをわざとインパクトのある書き方を選ばなかった。画面はシンプルな後ろ姿で、背景の中の四季だけが交代している。定格的に見える画面は、実は時間が流れている証しだ。その他、藤本さんは表面の美しさを追求せず、シワの一本一本でキャラクターを生き生きと描いた。そうすることによって、読者をキャラクターの見た目でなく、「魂」に注目させた。最後に、物語は結局熱血漫画ではなく、真実とファンタジーを両立させた不思議な展開になった。まさに藤本さんの作品ならではの魅力だと思う。

小さい頃、私も漫画を描くのが好きだったが、忍耐力と時間がなかったため、趣味に留まった。しかし、漫画への愛は残っている。『look back』を読んだ時、その漫画愛が湧き出し、すごく感動させられた。

特筆すべきは、この作品は、藤本樹さんが京都アニメーションを偲んだ作品でもある。天才的な漫画家・京本氏が、最後には殺人鬼の手の中で死んだと同様に、京都アニメーション放火事件でも、惜しくも多数の優秀な漫画家が命を取られた。だが、私たちが忘れていない限り、きっと漫画が生み出す感動は残ると信じている。

リアルな表現とストーリー、ファンタジーな結末、最後に多くの読者の心を揺さぶった、『look back』は、まさに驚きの連続と言える作品だった。

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