過去40年間で最も安定している中国経済

2018-05-08 14:31:42

 

増える日本企業の対中投資

 日本企業の対中投資も活発な動きを取り戻しつつある。16年秋には、ホンダが武漢の第3工場を着工すると発表し、これをきっかけに他の自動車関連メーカーが動き始めた。加えて、中国の中間所得層による日本製品やサービスへの購買欲の高まりから、日用品分野の日本企業が新たな投資を始めている。昨年の対中投資は16年の31億㌦から約33億㌦へと微増したが、この流れは今年も続くだろう。12年秋以降消極化した日本企業の対中投資への姿勢が、ここに来てようやく積極化に転じつつあると感じる。

 これに対して韓国と欧米諸国は、対中投資を最近かなり減らしている。要因はさまざまだが、欧州諸国は中国の競争力強化を脅威と思っている。特にドイツ企業は一昨年から昨年にかけて多くの中国企業に買収されたため、警戒感を強めている。eコマースやフィンテックなどの新しい分野でも、高まる中国の急速な競争力への恐怖感からか進出を控えたため、昨年の対中直接投資は軒並み減少している。日本企業はこの流れとは逆に、積極姿勢に転じつつあるということだ。

 

誤解が多い「一帯一路」

「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」に関連の協力関係を模索する動きがあることから、18年の日中経済は協力関係強化の可能性が見込まれる。

「一帯一路」は中国の長期的経済発展にとって不可欠だ。中国の国内市場が急速に伸びている今は、国内市場だけでも中国企業は十分発展できるが、長期的な将来、経済成長率が鈍化した時のためには今から「一帯一路」で周辺地域の経済を活性化し、新しいマーケットを開拓することを考えなくてはならない。そのためには周辺地域発展への土台づくりが重要になるが、その土台づくりのためのプロジェクトが「一帯一路」だと思う。

国際社会では「一帯一路」を「中国が覇権を求めるため」と評する声もあるようだが、私はあまりそう思わない。安全保障の観点では「自分のところが強くなれば周りが損をする」というパワーゲームに見えるのかもしれないが、「一帯一路」はそもそも経済戦略で、経済政策は成功すれば周りも潤うウインウイン関係だ。「一帯一路」の目的は中国経済の長期的安定確保なので、中国経済が安定すれば周りも潤う。

 中国経済のアジアや世界へのインパクトは増大しているから、中国が順調に発展すれば、周りの国も助かる。特に隣国で多くの製品が買われている日本にとって、中国の経済発展は自国の発展に直結する。つまり中国が順調に発展するよういかに助け、応援するかは、日本にとっても重要だ。よって、「一帯一路」を日本が応援するのは当然であると私は思う。

アジアを発展させ世界に貢献していくために、日本は「一帯一路」で中国と共に発展する道を歩むのが最も正しいと思うが、最近気になったのは、安倍政権の「自由で開かれたインド太平洋戦略」だ。この名称が「一帯一路」に対抗するイメージを与えてしまい、一部の中国政府の人々は当初、「一帯一路」に対抗して中国を封じ込めるための政策と受け止めてしまったと聞いている。日本政府による説明で誤解は解かれたようだが、やや誤解を招く政策だったのではないかと思う。中国との協力をより円滑に進めるのであれば、誤解を生むプロジェクトではなく、誰が見ても日本と中国が一緒に行うと思わせるプロジェクトを打ち出していくのが、望ましい方向だろう。

 「一帯一路」のプロジェクトの中には、採算の良いプロジェクトもあれば「何でこんなことを」と首を傾げるようなプロジェクトもあると聞いている。日本はプロジェクトの良し悪しを中国にアドバイスしつつ、共に良いプロジェクトの推進に力を入れていくことが大切である。

(聞き手・構成=呉文欽)

 

人民中国インターネット版 2018312

 

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