江西省に経済発展のチャンス

2023-05-26 14:08:00

長江中·下流の南岸にある江西省は中国の内陸の省で、略称は贛(がン)、面積は一六万六六〇〇平方キロ、人口は三千九百十三万人だ。

同省は今世紀二〇年代に中国の人民解放軍が誕生した地だ。一九二七年八月一日、革命軍創始者の一人、周恩来総理と朱徳元帥の指導で蜂起の発生した南昌は、現在省都になっている。一九四九年に新中国が成立してから、八月一日は、中国の建軍節(人民解放軍創立記念日)と定められた。

中国陶磁器の町として内外に知られる景徳鎮も江西省にある。

南昌、景徳鎮そしてもう一つの重要都市·九江をつなげると、長江の南岸に沿って三角形の地域になり、地理的に優れた位置にあり、経済的潜在力が大きいので、長江中·下流南岸の「黄金の三角地帯」と呼ばれている。

中国政府は一九九二年、長江沿岸の二十八の都市と八つの地区の対外開放を決定し、まず沿海から、後に内陸地区に向けて対外開放を進めて行くという新たな配置の確立、及び江西省と隣りあう湖北省の省都·武漢を中心とする長江中流経済圏の形成につれて、江西省は新しい経済発展のチャンスを迎えた。

 

「黄金の三角地帯」の優れた投資環境

九江、南昌、景徳鎮は江西省の重要な工業都市で、またいずれも古い文化の歴史を持つ都市だ。同省のほかの地区に比べると、この三市の投資環境は際立っている。

―まず交通が発達し便利なことだ。三市は水路と陸路の重要な位置にあるから、水陸空が調和して発展した総合運輸体系を形成している。水運の面では、九江港は長江の大きな港の一つで、江西省で唯一つの長江を通って海に行ける対外港で、世界の各大港に直航できる。道路の面では、四本の国道がそれぞれ三市を通って、さらに広東、福建、浙江、安徽、湖南、湖北へ通じる上に、省内の各市にも通じる。鉄道の面でも、四本の鉄道がこのデルタ地区を貫通し、建設中の京九(北京―九竜)線は九江市や南昌地区を貫通している。空路の面では、三市はいずれも空港を持ち、全国の主な大·中都市へ直航できるし、南昌市からは香港への直航チャーター便が開通している。


酒を温める高級な白釉染付けの罐を検査する景徳鎮の労働者。これは江沢民総書記が訪日の際の記念品。
酒を温める高級な白釉染付けの罐を検査する景徳鎮の労働者。これは江沢民総書記が訪日の際の記念品。

―工業の実力が十分なこの三市には、省内の半分以上の大·中型企業があり、すでに一連の機械、化学工業、石油、電力、航空、陶磁器、服装など種類の豊富な工業体系が建設されている。南昌には、中国で初めて飛行機を生産したメーカー·南昌飛行機製造公司、大型の紡績企業·江西綿紡績捺染工場および大型自動車とトラクター工場がある。九江には、中国最大の羽毛加工やダウン製品の企業および発電所と製油所がある。景徳鎮は、陶磁工業を主体とし、世界でも珍しい陶磁器生産を専門とする都市で、ここで生産する青磁器、絵つけ磁器、染つけ磁器、粉彩磁器という四種類の磁器は、世界でも名だたるものだ。

―農業的基礎がしっかりしているのも強みだ。三市には五一万六〇〇〇ヘクタールの畑と三七万八〇〇〇ヘクタールの水田があり、穀物、綿花、搾油用の農作物、茶、かんきつ類などを多く産出する。

このほか、デルタ地区の鉱産資源(景徳鎮の陶磁器用土は有名だ)と観光資源(避暑地·盧山は九江市にある)が大変豊富だ。

長江沿岸地区を開発するという、国の総合配置にもとづいて、江西省は、省内の沿岸地区の経済発展企画をつくった。主として次のような構想である。

―デルタ地区で一部の土地を外国企業に提供して投資·開発させ、九江に保税区を設け、南昌に保税倉庫と保税工場を設立し、景徳鎮港をつくるため努力する。

―三本の高性能の道路を重点的に建設する。すなわち、南昌―九江の自動車専用一級道路、九江―景徳鎮、南昌―景徳鎮の高速道路だ。また、長江最大の九江長江大橋、南昌大橋、湖口大橋をかけ、大型旅客機の発着できる南昌空港を建設し、九江空港と景徳鎮の羅家空港を拡張する。それと同時に、国内で一流水準の南昌駅、九江駅を新しくつくり、五百個の標準コンテナーと五〇〇トン級コンテナーバースを一つ新設し、二〇〇〇トン級のばら積み雑貨のバースを二つ拡張して、三角地帯の水陸空の総合的運輸システムをさらに完全なものにする。また一連の中·小型の水力発電所の建設も計画されている。

―文化、宗教、陶磁器という専門的観光コースをしだいにひろげ、廬山での観光バカンス区の開設と、三市での一連の観光用高級ホテルの建築に力を入れる。

―景徳鎮陶磁器基地を建設する。短期間の中に、三本の高級磁器生産ラインと六つの陶磁器基礎工業プロジェクトの改造を完成し、陶磁器生産の自動化、陶磁器補助材料生産の専業化、磁器を焼くためのガス化を実現しようと計画している。

九江が投資の焦点に

江西省の長江南岸三角地帯を開発する時、最も注目されたのが九江市だ。同市は東西に流れる長江が南北に走る京九(北京―九竜)鉄道と交差している所にあるので、長江に沿ってさかのぼれば武漢、重慶に行けるし、下れば南京や上海などの大都市へ行ける。長江沿岸の各省·市と水陸連絡輸送のできる埠頭だ。九江はかつて中国の「四大米市」「三大茶市」の一つとして知られていたが、いまは、国に許可された江西省唯一の対外開放の港湾都市である。

第七次五カ年計画(一九八六~一九九〇)の期間に、国は九江の重点工事に四十億元を投資し、うち一億元以上が港の施設、税関、商品検査、動·植物の検疫などのプロジェクトの建設に使われた。二隻の五〇〇〇トン級の貨物船が同時に停泊できる、対外貿易専用の新埠頭がすでに使われはじめた九江港は、コンテナー埠頭、石油類の専用埠頭を含めて、大小四十四の埠頭のある多機能港になり、貨物の年間総取扱い量は七〇〇万トン余りに達している。

それと同時に、その他のインフラ建設のテンポも速くなった。新しく建設した長江で最大規模の鉄道·道路両用の九江大橋はすでに両端がつながり、道路橋はもう開通している。また九江発電所の第二期拡張工事の四〇万キロワットの発電ユニットはもう発電を開始し、第三期工事が現在行われている。日本から導入した一万三千回線のプログラム制御電話はすでに据えつけを終り通話し始め、十万回線のプログラム制御電話の容量を拡大する工事も順調に進んでいる。このほか、九江市は、輸出入貿易総公司と八つの支社を設立し、外国企業の投資を審査·許可する手続きを簡略化した。

投資環境がしだいに改善されるにつれて、九江はすでに国内外の投資の焦点になっている。一九九二年と九三年だけで、それぞれ十五億六千万元と十六億六千万元の内外の経済貿易取引高に達した上に、外資六千百五十万ドルを導入した。

九江市はすぐれた景色と穏やかな気候に恵まれているので、国内で長年、九江の開発と開放に関心を寄せてきた経済学者たちは、九江をジュネーブのような国際会議と観光のセンターにしようという構想を提案した。

九江市政府の責任者の話では、一九九一年から二〇〇〇年の間に、全市の建設に投入する資金は百四十億元を超えるという。多くの内外の専門家が九江を視察して「二十一世紀は九江経済の全盛期になる」と予言した。


共青城·全国最大のダウン工場で輸出用ダウン製品を加工する労働者。
共青城·全国最大のダウン工場で輸出用ダウン製品を加工する労働者。

建設中の昌九工業回廊

江西省内の長江沿岸開発の重大な措置の一つは「昌(南昌)九(九江)工業回廊」の建設だ。省政府は一九九二年二月にこの措置を決定し、三十年かけて、南は南昌から、北は九江まで、全長一五〇キロのハイテクと外向型の工業回廊をつくることを計画した。

回廊は八つの開発区から成り、総面積は三〇〇余平方キロ。ここには省内の主な資源と基礎的工業が集まっている上に、交通もとても便利で、「黄金の三角地帯」と呼ばれている。

八つの開発区のうち昌北開発区は南昌市の北郊にあり、面積は七八·八平方キロ、風景が美しく観光資源が豊富だ。

昨年末までに同開発区は企業を招き、営業許可証を出したプロジェクトが百六十九あり、投資額は十二億元に達した。最初に開発区に参入した二十一の企業はすでに着工し、そのうち八つの外国との合資企業はすでに生産を始めた。

アジアで最大の靴や皮革類の生産基地·中国とタイが合資してつくった華商靴城は昨年十月に着工した。この靴城は敷地面積六〇ヘクタール、投資総額一億二千万ドルに達し、五年半かけて完成する予定で、年間総生産高七億ドル、最終的生産規模は靴の年産が一億三百五十万足となる見込みだ。

第一期工事は、来年四月に完成し、一年に六百万足の各種の靴と、三十六万枚の製靴用皮革を生産する予定。

昌九工業回廊の建設計画は、海外で大きな反響を呼び、台湾、香港、澳門(マカオ)、東南アジア、アメリカ、イタリアなどの地区と国の企業がぞくぞぐ投資に来ている。一九九二年に、外資の利用を許可したプロジェクトは四百八十七、契約金額は四億八千万ドル、江西省全体の六三·八%を占めている。九三年一月から三月までに、二百十五の外国企業と契約を結び、投資総額は一億六千八百万ドルに達した。

この回廊の発展目標はつぎの通り。

二〇〇〇年になると、工業総生産高は一九九〇年の百二十八億元から四百四十億元に増やし、全省の工業総生産高の比率から言えば、一九九〇年の三〇%から、四〇%に増やし、次の世紀に全省の経済がさらに大きな発展をとげるために、しっかりした基礎をつくる、ということだ。

一九九二年から、中国政府の長江沿岸の開発開放に関する決定が実施されて以来、南昌、景徳鎮、九江、三市の国民総生産(GNP)はいずれも大幅に増えた。

経済が発展した基礎に立って、三市とその周辺の農村の人びとの生活は一層改善された。ビデオ、エアコン、音響セットなど高級な商品がますますたくさん普通の家庭に入っただけでなく、家庭用電話、家庭用コンピューター、ポケットベルはすでに新しい消費の焦点になっている。

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