建築アートのギャラリー

2022-03-08 16:09:57

 

中央大街にはさまざまな様式の建築のほか、歴史のある洋食店や土産物店が集まり、今では観光客に人気のある観光スポットとなっている  

冬にハルビンの繁華街「中央大街」を歩くと、白い息を吐きながらアイスを食べている歩行者の姿を見掛ける。道の両側にはさまざまな様式の洋館が並び、まさに建築アートのギャラリーが目の前に広がる。欧州の1516世紀のルネサンス様式、17世紀のバロック様式、18世紀のエクレクティック様式など、1898年に建造されたこの街には、数世紀にわたる欧州建築の粋が集められている。 

中央大街を抜けて20分ほど歩くと、巨大なビザンチン様式の教会が見えてくる。この07年に建てられた聖ソフィア大聖堂は、極東地域最大のロシア正教の教会だ。タマネギ型ドームと赤れんがの壁には重厚感があり、屋上の鐘楼で鐘打ち職人が慣れた動きで鳴らす鐘の音が、都市の上空に響き渡る。 

 

1997年に修復された聖ソフィア大聖堂の内部は現在、「ハルビン市建築芸術館」として使われている 

19世紀末の中東鉄道の竣工と松花江の航路の開通により、外国から人と資本が大量に流入し、ハルビンは極東の大都市として急速な発展を遂げた。欧州様式の都市建築もこの時期から流行し始めた。1920年代に成長した中国の資本家は道外地区の土地を大量に購入し、そこに、豪華絢爛なバロック様式にコウモリやザクロ、牡丹などの中国の伝統的な装飾を加えた特徴的な洋風建築群を建てた。この建築スタイルは、日本の建築史家・西澤泰彦氏によって、「中華バロック」と名付けられた。 

これらの洋風建築物は、ハルビンの近代化の歴史を物語っていると同時に、街に独特の異国情緒を添えている。今ハルビンの街を歩いていると、時折『カチューシャ』などの外国の曲がアコーディオンの音色で道端の洋館から流れてきて、ロマンチックな異国に迷い込んだような気がする。 

 

21世紀に入って、老道外の「中華バロック」建築物は老朽化でぼろぼろになっていたが、ハルビン市政府によって2007年に修復・保護された 

 

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