青年対話 多様化で共存の道を探る

2023-12-05 14:14:00

蔡夢瑶=文 

1019日の午後に開かれた第19回「北京―東京フォーラム」の青年対話会では、中日両国のさまざまな業界分野から来た青年が「新しい中日関係を目指し若者が担うべき役割」というテーマを巡り、オープンで率直な交流を行った。 

友好の基礎は民間に 

現在、中日間の人的文化交流は相対的に減少している。それだけでなく、新型コロナ前と比べ、両国の民間企業の交流も減少している。今回の青年対話で、パネリストたちは、試練に満ちて複雑かつ厳しい中日関係に対し、民間での中日友好の拡大を実践していくことは両国青年に共通した使命であるという考えで一致した。 

日本文華伝媒株式会社副社長、『東方新報』総編集長の孫冉氏は中日民間交流事業に携わってきた自らの長年の経験を例に、中日関係の未来が民間にあることを強調し、民間、そしてささいなことから出発し、これまでの両国交流の成果を守り、さらにこうした交流が将来的にも発展し続けていくように後押しすることを呼び掛けた。 

グリーンテックコンサルティング株式会社代表取締役の佐野史明氏は、当面の両国関係は楽観視できないが、両国は互いにとって重要なビジネス協力パートナーであり、長い目で双方の協力関係を構築しなければならないという見解を示した。 

嗶哩嗶哩(bilibili)株式会社公共政策研究院院長の盧雅君氏は次のような考えを述べた。民間企業から見れば、民間の友好はいつまでも中日関係の発展の原動力であり続ける。私たちは人的文化交流をいっそう深め、民心の通じ合いを促し、中日関係の「ラストワンマイル」をしっかりと整えていかなければならない。 

国境超え地球規模の課題に対応 

世界に目を向けると、われわれは気候変動や公衆衛生、核不拡散などの厳しい試練に直面している。中日両国はいかにしてこれら人類共通の課題に対応すべきか。このテーマを巡り、パネリストたちは第2セッションの議論を繰り広げた。 

一般社団法人SWiTCH代表理事で国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)日本ユース代表の佐座槙苗氏はCOP26に参加した経験を共有し、次のような考えを述べた。地球は一つしかなく、気候変動や自然災害を前にして世界に国境はない。地球をより良くするため、若者はより大きな使命感を持ち、国境を超えた協力を展開していくべきだ。 

中信資本ホールディングス有限公司副総裁の高斌氏も、地球規模の課題の前に他人事でいられる人間はおらず、この点において、中日の若者が背負う使命には変わりがないとの見解を示した。また、かつて日本と韓国の留学生を含む中日韓3国の学生による共同ボランティア活動に参加した経験を振り返りながら、厳しい試練に直面している歴史的背景の下、中日両国の若者はたくさん往来交流し、困難な環境において自分が正しいと思うことをやり遂げるべきだと主張した。 

言論NPO国際部長で日本側司会の西村友穂氏は次のように述べた。日本ではまだガソリン車が主流だから、北京の街を走る電気自動車の多さに驚いた。グリーンテクノロジーなどのグローバルな分野において、日本は中国に学び、中国の経験をくんで参考にできるところが多い。 

南京美第奇ネットワーク科技有限公司の創始者兼CEOの張耀倫氏は次のように述べた。現在、中日には足並みがそろっていないという問題があり、このようなときこそ、顔を合わせる交流がとりわけ重要になってくる。「北京―東京フォーラム」などの場で醸し出された民間友好の雰囲気が、世界規模の課題における両国の協力を促すかもしれない。 

多様化を受け入れよう 

対話会の最後に、両国のパネリストは中日の若者の新しい時代の活躍を巡り議論を行った。盧雅君氏は、中日の若者はこれから新しい方法と新しい領域で新しい物語をつむいでいくと指摘した。また、「国楽大師」と呼ばれる琵琶演奏家の方錦龍氏とバーチャルアイドル「洛天依(ルォテンイ)」による中国の代表的な名曲『茉莉花(ジャスミン)』の共演を例に挙げ、より多くの若者に喜ばれる形で中日の人的文化交流における新しい物語を語ったらどうかと提案した。 

游仁信息科技(上海)有限公司最高執行責任者(COO)の栗栖祐哉氏は、若者は既存の概念を疑い、固定化したレッテルを破り捨てられるようになるべきだという考えを述べ、次の見通しを語った。言語や国境を超越するメタバースの特性を例とすると、未来の世界は多様化した発展を迎え、人の属性もますます多様化していく。レッテルをはがし、多様化を受け入れていく中で、両国の協力もより円滑なものになるだろう。 

中国外文局アジア太平洋広報センター戦略研究部部長で中国側司会の張雪松氏は栗栖氏の考えに賛同し、次のように総括した。世界がますます複雑化する反面、人々の頭の中の認識は白でなければ黒であるというような単純化した傾向が現れており、これは非常に危険な状況だ。単純化を避け、多様化を受け入れ、この世界が不完全で、中日関係も不完全であり得ると理解してこそ、互いに学ぶことができる。受け入れることを学び、世界と調整し、調整の中で共存の道を身に付ける。これこそ、今回の対話会がもたらした最大の意義かもしれない。 

人民中国インターネット版

 

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