メディア分科会 45年前の「鉄の橋」守ろう

2023-12-05 14:18:00

李家祺=文 

 

条約の初心を擁護 

パネリストたちは、中日平和友好条約は中日関係の発展を推し進める上で重要な意味を持ち、メディアとして自らの役目を果たし条約の精神を守るべきだとの考えで一致した。 

元国務院新聞弁公室主任で第11期全国政協外事委員会主任の趙啓正氏は次のように指摘した。中日の回答者の多くは両国関係が重要だと考えていることが今回の中日共同世論調査で分かった。これはわれわれが中日関係の発展を推し進めていく自信のよりどころだ。一方、若い世代は中日共同声明や中日平和友好条約を含む中日間の四つの政治文書についてあまりよく知らないようだ。このような状況に対し、両国のメディアは四つの政治文書の内容と意義を読み解き続けるべきだ。 

人民日報社国際部副主任の曹鵬程氏は次のように指摘した。中日の間で推し進められる友好は「平和的友好」であり、平和は友好の基礎である。中日平和友好条約の第2条は覇権に反対する内容で、これは両国にとって、過去においても現在においても極めて重要だ。また、両国のメディアは条約の精神を守るために寄与しなければならないと主張した。 

朝日新聞社社長補佐役前編集局長の坂尻信義氏は、日本人回答者の日中平和友好条約への認識度が低いことが今回の世論調査で分かり、この現象についてメディアにも責任があると指摘した。分科会の中国側司会を務めた中国社会科学院日本研究所研究員の金瑩氏は、中日平和友好条約は両国の正の歴史的遺産であり、両国のメディアはこの遺産を守る上で大いに協力し、両国の人々、特に若者が今日の中日関係および条約が発揮できる役割を全面的に理解するよう導いてほしいと指摘した。 

中央公論新社『中央公論』編集長の五十嵐文氏は過去のことを振り返って次のように述べた。条約締結当時、福田赳夫首相は「共同声明でつり橋ができた。これ(条約調印)で鉄の橋になった」と言った。現在、この「鉄の橋」を渡り、相手国を見に行きたい人がより多くなってほしい。 

中国外文局アジア太平洋広報センター特別顧問で第14期全国政協外事委員会委員の王衆一氏は次のような考えを述べた。今こそ、45年もの風雨を経た「鉄の橋」のためにねじを締め、鉄骨のさびを落としてきれいにする時だ。条約の精神について、一部の内容を一面的に強調し、際立たせるのではなく、条約の精神と原則を完全かつ全面的に伝えていくべきだ。 

より多くの友好の物語を発掘 

近年、中国発のゲームやSF小説、チャイボーグメイクなどは日本で人気を呼び、より多くの日本の若者が現代中国を知るための窓を開いた。日本側司会を務めた東京大学大学院総合文化研究科教授の川島真氏は、日本の若い世代の対中好感度が高いことが世論調査と内閣府の関係調査で分かったと述べた。 

これに対し、日本経済新聞社専務執行役員論説委員長の藤井彰夫氏は次のように指摘した。文化交流は双方の相手国の好感度の向上に非常に重要であり、日中は両国民、特に若者のためにより良い文化交流の環境や機会をつくり出すべきだ。 

零点有数科技グループ董事長の袁岳氏は次のように述べた。中国の流行文化が日本に入りつつあるが、日本の二次元文化も中国で幅広く受け入れられており、このような現代の新たな形の往来で生まれた物語は両国民の友好感情の増進につながるだろう。 

五十嵐氏は次のように述べた。多くの日本の若者は流行文化を通して現代中国をある程度知るようになったが、これまでの歴史をよく知らないことを残念に思う。プロのジャーナリストとして、若い世代に両国の過去の歴史についてより客観的かつ全面的に知ってもらう努力をすべきだ。 

澎湃新聞社国際部編集長の于瀟清氏は中日国交正常化50周年だった昨年の訪日取材の経験を次のように語った。大船渡市の消防センターを訪問した際、全ての消防士が、311東日本大震災の発生直後に支援に駆け付けてきた中国人の名前を今もこれからも忘れないように、当時の中国救援隊の名刺を今でも大切に保存しているところを見た。このようなことは小さなことだが、両国のメディアが発掘し報道する価値がある。日本のメディア関係者は、中国のネガティブなニュースを報道するのは注目度や売り上げにつながるからだとよく言っている。しかし報道機関としてのメディアは中日の恒久的な友好のために、より責任を持ち、「労多くして功少なし」のようなことを多くすべきだろう。 

毎日新聞社論説委員長の福島良典氏は自身の欧州駐在の経験を交じえながら、フランスとドイツがいかに制度化した枠組みで官民両面で恒常化した交流を実現したのかについて紹介した。さらに次のように指摘した。日中関係はフランスドイツ関係と違うところが多いが、一定の参考の価値がある。メディアとして、政治対話に資する環境づくりや国民間の信頼増進疑念払拭を推し進めるために自分なりの役割を果たすことができる。 

回のメディア分科会で、中日両国の経験豊かなジャーナリストおよび報道広報を研究する学者12人は、「中日平和友好条約の今日的意味と報道の役割」をテーマに、踏み込んだ率直な交流を行った。 
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