特別分科会 協力強化で核の懸念払拭

2023-12-05 15:11:00

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回の中日共同世論調査では、核問題に関する問いを初めて盛り込んだ。その結果、526%の中国側回答者と399%の日本側回答者が近年中に世界で核戦争が起こる可能性があると答え、両国民とも高まる核リスクに懸念を示していることが明らかになった。人々が強い関心を抱いている議題を巡り、今回のフォーラムは核の安全に関する分科会を新たに設け、中日のパネリストが「核の安全体制の構築に向けた中日協力」について活発な議論を行った。 

「核安全」とは 

清華大学国際関係学部教授の李彬氏は、双方が的確で踏み込んだ対話を行うために、原子力事故の防止、核テロリズムの防止、核兵器の威嚇と使用の防止という中国語の「核安全」の三つの意味を紹介し、中日は核安全に関わるあらゆる面で協力を強化する余地があるとした。慶応義塾大学総合政策学部教授で公益財団法人国際文化会館常務理事の神保謙氏は、従来の戦略的安定性は軍拡競争安定性と危機安定性という二つの側面を持つが、目下、中米間はどちらの側面でも安定した状態を持たず、懸念されていると述べた。中国人民大学国際関係学院教授の呉日強氏は、米国は中国に対して常に核攻撃の大きな優位性を持ち、ミサイル防衛システムの発展などの「損害限定」手段を通じて、中国の報復攻撃力を相殺しようとしており、中国の核戦力の近代化は、信頼できる報復攻撃力を通して戦略的安定性を維持することを目的としているとの考えを述べた。 

中国軍備管理軍縮協会秘書長の李馳江氏は現在の世界の核秩序が直面する試練について次のように分析した。①地政学的競争と地域紛争の影響の下、核兵器使用の威嚇に関する言論が時々現れている②国際社会が共に守る核不拡散体制が深刻に侵食されている③国際的軍備管理軍縮のプロセスがかつてない挫折に見舞われている④地域紛争が原子力発電所の安全性に大きな試練をもたらしている。中国現代国際関係研究院軍備管理研究センター主任の郭暁兵氏は実例を挙げて国際的核軍縮プロセスが陥っている苦境を語った。今年初めに米ロ間に残る唯一の核軍縮条約が瀬戸際に追い込まれ、残念なことに、双方はすでに同条約に基づくデータ交換と現地査察を停止した。元ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部大使で東京大学公共政策大学院客員教授の高見澤將林氏は、インターネットとAIなどの新興技術も核軍備管理軍縮に新たな試練をもたらしていると述べた。 

元駐中国大使で元軍備管理科学審議官の宮本雄二氏は次のように指摘した。われわれは現状を、すなわち、核兵器が再び使用される可能性があることをはっきり認識すべきだ。しかも核兵器がいったん使用されると、使用数や損失の多寡にかかわらず、核戦争に対するブレーキが効かなくなり、核兵器の使用が常態化する。この基本意識に基づいて緊迫感と危機感を持たなければ、われわれは当面の問題にうまく対処することができず、解決策も見つけられない。また、宮本氏は核兵器保有国が自ら責任を担い、核リスクを着実に低減させるよう呼び掛けた。 

対話で懸念解消へ 

分科会の質疑応答では、中日パネリストは共に関心を寄せる核軍備管理や核軍縮、核不拡散などの問題について率直かつ活発な議論を交わした。意見の不一致が多かったが、ある程度の共通認識も得た。 

中国はなぜ米ロ核軍縮に参加しないのかという日本側パネリストの質問に対して、李彬氏は次のように説明した。中国は核軍縮に参加しないのではなく、核保有国5カ国の枠組み内で核軍縮に向けた取り組みを積極的に推進し、先頭に立って核軍縮用語表の作成を完成し、「核戦争に勝者はありえず、核戦争は決して戦ってはならない」という共同声明の発表を後押しした。李馳氏は中国政府の核軍縮に関する主張を説明し、公正かつ合理的な漸進的かつ均衡ある削減という原則、および「世界の戦略的安定性を維持する」「各国の安全が損なわれない」という原則を踏まえて、核軍縮を順を追って理性的かつ着実に進めるべきだと述べた。 

福島第一原子力発電所の汚染水の海洋放出について、中国現代国際関係研究院国際安全所所長の劉衝氏は、日本が中国およびその他の国の懸念を理解することを望み、次のように述べた。中国はただ放射性物質による汚染を懸念しているのではない。海洋放出が海洋環境や漁業、国際法などにも関わるため、中国は、中国が参加する、独立した多国間国際モニタリング体制の構築を望む。中日韓にはもともととても良い原発安全協力メカニズムがあり、同メカニズムの枠組み内で問題解決への道を探ることができる。言論NPO代表の工藤泰志氏は、日本は「処理水」の安全性を確認する前に、確かに近隣諸国の懸念を十分に重視しておらず、日本でも40%前後の国民が懸念を示していると語った。元外務省在ウィーン国際機関日本政府代表部公使で日本軍縮学会会長、一橋大学法学部教授の秋山信将氏は、日中は二国間協議を行い、互いの懸念について意見を交わし、また連携して処理過程を監視し、情報を公開することができると提言した。 

 

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