経済分科会 新分野開拓し変動に対応

2023-12-05 15:25:00

王朝陽=文 

下、世界経済の回復が鈍り、不確実性がますます高まっている。大きな変動に見舞われる世界経済の情勢の下、中日はいかに協力を着実に推進し、困難を共に乗り越えるのか。経済分科会では、両国のパネリストが「世界経済のリスク回避と中日の役割」をテーマに議論を交わした。 

政治変動による経済リスク 

今、世界経済の最大のリスクの一つは、なかなか下がらないインフレ率だ。その背後にある根深い要因について、両国のパネリストは踏み込んだ議論を行った。 

元中国銀行首席経済学者の曹遠征氏は次のように分析した。インフレのコントロールが難しい根本的原因は、グローバルルールが破られたことにある。グローバル化はルールに基づくグローバルガバナンスであるが、ウクライナ危機に対する各国の反応を見ると、各国が発表した制裁措置と対抗措置は7000項目余りに達している。グローバル貿易が次第に価値観に基づく貿易に変わりつつあるのは、グローバル化への最大の試練だ。アジア太平洋地域もこうした影響を避けられず、その表れの一つが昨年5月に米国の主導で始動した「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)だ。これに対して曹氏は、中日韓とりわけ中日両国は過去40年以上にわたりグローバル化のボーナスを享受してきた以上、イデオロギーで一線を画す価値観貿易に旗幟(きし)鮮明に反対すべきだと提言した。 

衆議院議員で元経済産業副大臣の牧原秀樹氏もグローバルルールが破られたとし、次のように述べた。世界貿易機関(WTO)の貿易ルールを真っ先に破ったのはトランプ前米大統領だ。トランプ氏はWTOの上級委員の指名任命を阻み、紛争解決の機能停止を招き、それによりますます多くの国がルールに違反し始めるようになった。WTOの紛争解決制度を維持する上で、日本は中国と足並みをそろえ、国際貿易が公平公正な法律の下で行われるよう共に後押しし、さらに日中協力を通じて米国が責任ある行動を取るよう後押しすることを望む。 

ウクライナ危機、イスラエルパレスチナ情勢が悪化し続ける中、人類は第2次世界大戦後の最も不安定な時期に置かれている。当面、世界の経済リスクは過去と違い、より多くの政治的要因が重なっている。さまざまな要因が複雑に絡み合う経済リスクに直面する中国と日本の国内経済はさらなる圧力を受けている。しかしそれと同時に、両国の経済発展はアジアひいては世界の平和と繁栄を維持する上でますます重要になっている。 

排出削減などで協力を 

後半部分の議論において、中日のパネリストは協力の展開や相互信頼の構築を巡って率直かつ誠実な交流を行った。 

元財政部副部長の朱光耀氏は中国の次の経済成長の原動力について次のように説明した。第一の原動力は新エネルギーの発展で、第二の原動力はデジタル経済の発展だ。3060目標、すなわち2030年までに二酸化炭素排出量のピークアウト、60年までにカーボンニュートラルを実現するために、中国は100兆元以上投資する必要がある。これは中国の経済にとって大きな後押しとなり、この市場が世界に向けて開放されれば、世界最大の市場になるだろう。 

全国日本経済学会副会長の呂克倹氏は、RCEPの枠組みの下で、中日両国は今後第三国市場で水素エネルギーや低炭素分野の協力プロジェクトを重点的に推進すべきだと提言した。 

三菱UFJ銀行副頭取執行役員の板垣靖士氏は、現在アジア地域の二酸化炭素排出量は世界の60%を占め、脱炭素は日中が今後40年、さらにより長い期間にわたって共に直面する課題であり、日中両国は手を取り合ってアジアによりふさわしい低炭素成長の道筋を探るべきだと述べた。 

パナソニックは中国の改革開放以降、常に中国市場を開拓してきた。パナソニックホールディングス株式会社代表取締役兼副社長執行役員の本間哲朗氏は中国市場について次のような考えを述べた。活力に満ち、急速に変化する大市場である中国には、数多くのチャンスがある。日本の企業は中国市場の新興分野に注目し続け、新たなビジネスチャンスを見いだすべきで、現状に安んじてはならない。パナソニックはずっと中国のシルバー産業の発展に関心を寄せており、今まですでに中国の30カ所以上で高齢者向け住宅プロジェクトを展開している。 

元商務部副部長の魏建国氏は、アジアは今後世界経済の新たな中心地となり、世界第2位、第3位の経済大国である中日両国が将来協力に向かうか競争に向かうかは、世界経済の回復に関わると述べ、次のようにまとめた。今年上半期の両国間の貿易額は前年同期比で減少したが、今後の中日貿易には確信を持っている。長距離走で起こる「偽疲労」と同じように、持ちこたえ続ければ、中日は必ず今の苦境を抜け出す。

 

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