政治・外交分科会 条約の原則と精神がキー
段非平=文
中日平和友好条約締結45周年を迎えた今年、条約の今日的な意味を考え、両国関係の未来を展望することが、第19回「北京―東京フォーラム」政治・外交分科会の主な議題となった。
条約の精神の中核を温める
両国のパネリストは、中日平和友好条約は今日でも重要な現実的意義を持ち、その精神は依然として中日の平和共存や互恵に対する重要な保障であり、両国ひいてはアジア太平洋地域と世界の根本的利益に合致するとの認識で一致した。
「45年後の今日、われわれは条約を読み返した。文章はそれほど長くはないが、『一字千金』の重みがあった。原則と精神は時代遅れになっておらず、色あせてもいない」と中国国際交流協会副会長で元中国共産党中央対外連絡部副部長の劉洪才氏は語り、次のような考えを述べた。中日平和友好条約は現在および未来の両国関係の発展にとって重要な指導的意義を持つ。国際情勢の変化が絡み合い、中日関係が重要な歴史的転換期に直面しているいま、両国はさらに条約の精神を振り返り、条約の規定を順守し、条約の義務を履行すべきだ。
45年前の条約締結交渉に携わった国際交流基金元理事長の小倉和夫氏は当時を振り返り、次のように述べた。条約の第3条には、「両締結国は、善隣友好の精神に基づき、かつ、平等および互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係および文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する」と明記されている。この規定は日中関係の発展に対する人的・文化交流の重要性を強調している。現在、両国の国民感情は楽観視できないが、国民感情を安定させるため、双方は両国民が共に関心を寄せる課題を探り、両国民の交流を積極的に促進しなければならない。
衆議院議員で自由民主党幹事長代理・政調会長特別補佐の木原誠二氏と東京大学大学院総合文化研究科教授の川島真氏も、民間交流の重要性を強調した。目下の日中間のハイレベルな往来はまだ強化の余地があり、両国はより積極的に民間交流を展開し、二国間の相互訪問により良い民意の基礎を提供すべきだという意見を述べた。
中日のパネリストは中日平和友好条約の現実的意義に言及した際、初心を忘れず「原点」に戻ることを説いた。復旦大学日本研究センター主任の胡令遠氏は、中日平和友好条約は痛ましい歴史の教訓に基づいて生まれたものであり、われわれは忘れてはならず、ましてや裏切ってはならないと強調した。また、この45年間、中日関係には多くの変化があったが、われわれは条約締結時の初心を忘れないことで、変化を客観的かつ理性的に認識し、変動下にある両国関係を建設的に処理することができる。条約が体現する原則と精神は永遠に時代遅れにならず、終始一貫して条約を厳守すれば、両国の共同責任と歴史的責任を体現することができると述べた。
平和友好の新たな1章を
1978年から現在までの45年間、国際情勢は大きく変化し、中日関係も新たな岐路に立っている。いかにして中日平和友好条約の原則と精神に基づき、今の時代の特徴に合った両国間の問題を処理する道筋と方法を模索するかは、両国のパネリストの関心の焦点となった。
中日友好協会常務副会長で元駐日本中国大使の程永華氏は次のように述べた。現在直面しているさまざまなリスクと挑戦に対し、中日両国は自分の利益ばかりを考えて災いや困難を他人に押し付けたり、「狭い庭と高い壁」を構築したりしてはならず、協力して難関を切り抜け、見守り助け合うべきだ。新たな情勢は中日協力に新たなチャンスを与えており、中日関係は平和の「和」を重んじると同時に、合作(協力)の「合」も重視しなければならない。従来の協力分野に加え、両国はグリーン発展、医療・介護、デジタル経済などの新しい分野をさらに開拓し、これらの分野で実務的に協力することができる。
いかにして両国の意見の相違を適切にコントロールするかについて、北京大学国際関係学院教授の賈慶国氏は、歴史問題や領土問題は確かに存在するが、これらの問題は両国関係の一側面にすぎず、両国関係の全てにしてはいけない。中日双方は両国間の各方面の問題、利益、協力を討議するために、より多くの民間対話や半官半民の対話が必要だと強調した。
今年の世論調査によると、両国民の中日平和友好条約に対する認識度は全体的に低い。これに対し、衆議院議員で立憲民主党政務調査会長補佐の太栄志氏は、これは日中平和友好条約の潜在力がまだ十分に発揮されていないことを示している。両国はこの問題を重視し、国民に条約の意義をよりよく理解してもらい、日中の平和と友好についてより深く考えてもらうべきだと主張した。
慶應義塾大学総合政策学部教授の神保謙氏は、ここ数年、中国は「一帯一路」イニシアチブやグローバル発展イニシアチブ、グローバル安全イニシアチブなどを相次いで打ち出しており、これらの構想には日本が参加するに値する内容が多く含まれている。日中両国は手を携えて、双方が認める地域利益を共につくり出すべきだとの意見を述べた。
中日平和友好条約締結45周年という重要な歴史的節目において、平和、友好、協力には新たな時代的意味が付与された。双方のパネリストは、両国が誠意をもって互いに歩み寄り、中日関係がより美しい未来を迎えるよう推進することを期待した。