政治・外交分科会:戦略的互恵関係構築へ一歩
段非平=文
昨年11月、習近平国家主席は石破茂首相とペルーで会談し、双方は中日両国の共通利益を巡って協力する戦略的互恵関係を全面的に推進することを改めて確認した。複雑に絡み合った(3)国際情勢の下、改善と発展の肝心な時期に差し掛かっている中日両国が、いかに手を携えて戦略的互恵関係を構築すべきかは、政治・外交分科会のパネリストたちの議論における重点的なテーマとなった。
戦略的互恵関係の意義の再確認
2008年、胡錦濤国家主席(当時)が日本を公式訪問し、両国の指導者は「戦略的互恵関係の包括的推進に関する中日共同声明」を発表し、両国関係の長期的発展のための指導的原則を確立し、両国関係の将来にわたる発展を計画した。
昨年以来、中日両国は多くの場で中日の戦略的互恵関係の全面的推進の重要性を再確認した。両国パネリストは、中日の戦略的互恵関係をよりよく構築するためには、まずその内在的意義と位置付けを明確にする必要があるとの認識で一致した。
東京女子大学特別客員教授の高原明生氏から見ると、日中戦略的互恵関係の構築は両国が積極的に共通の利益を探り、互恵・ウインウインの実現に努めることに加え、両国の互恵協力がアジアないし世界の平和・発展の大きな方向に合致するよう求めるものでもある。中国国際交流協会副会長の劉洪才氏も同様の見解を示し、中日両国は二国間関係において互恵・ウインウインを実現するほか、地域や世界においても双方の共通利益を共同で守り、拡大し、東方の知恵でグローバルな試練に打ち勝つべきだと強調した。
「戦略的互恵関係を構築するために、中日両国が実務協力を強化する必要がある。しかし、われわれは実務協力を単なるビジネスと見なしてはいけない。実務協力がもたらすプラスの影響は商業利益そのものよりはるかに大きく、双方の共通利益の絆を強固にし、中日関係の基礎をよりしっかりと築くことができる」と中国社会科学院日本研究所所長の楊伯江氏は分析した。
新たな局面を創出
いかにして中日戦略的互恵関係をよりよく構築するかについて、中日のパネリストはそれぞれ自身の意見を述べた。
中日友好協会常務副会長で元駐日本中国大使の程永華氏は正しい認識を確立することは中日の戦略的互恵関係の原点だと強調し、次のように述べた。中国は、隣国と仲良く付き合い、隣国をパートナーとする善隣友好の周辺外交政策を取っている。中国の平和的発展に対し、日本側は正しい認識を堅持し、自分の利益を図るために災いを隣国に押しつけたり、隣人を敵と見なしたりする言動を取るべきではない。両国首脳はすでに「中日双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」という共通認識に達しており、両国はそれをしっかりと貫徹し、戦略的互恵関係を着実に推進すべきだ。
意見の相違を適切に処理することは中日両国が戦略的互恵関係を構築するための保障だ。これに対し、公明党幹事長の西田実仁氏は、欧州はすでに独自の安全保障メカニズムを確立しており、アジアも同じようなメカニズムを確立する必要があると述べた。西田氏はさらに、アジア諸国は率直な意思疎通と交流を通じて、アジア地域の安全保障を共に推進すべきとし、アジアのことはアジアの人々が相談し、アジア諸国が自ら掌握すべきだと指摘した。
「民間交流は戦略的互恵関係の構築に強い原動力を注ぎ込んでいる。1984年に実施された『日本青年3000人訪中活動』が、40年経った今でも中日友好の美談として両国各界で称賛されている。新たな情勢の下、両国は交流の形式と内容を刷新し、民をもって官を促し、官民挙げて新たな交流の美談を生み出すべきだ」と劉氏は展望を述べた。
長期的かつ安定した関係推進
両国パネリストは、ペルーで行われた中日首脳会談によって、両国関係は改善・発展の時期を迎えており、双方はこのチャンスを捉え、中日関係の改善を着実に推進すべきだとの認識で一致した。
北京大学国際関係学院教授の賈慶国氏は、中日双方は両国間に横たわる意見の相違と矛盾を真剣に整理し、有効な方法で管理・コントロールを行うべきだとの考えを示した。賈氏は例として、両国の学者が共同で歴史問題を研究することによって、両国の歴史認識の差を縮める基礎を築き、一部の問題における相違が両国間のより大きく、より重要な利益を損なわないようにする必要があると述べた。程氏はこの意見に同意しつつも、両国間に横たわる一部の問題は相対的に複雑で、すぐさま解決できるものではないため、双方は対話と協議を維持し、意見の相違が両国関係の大局に影響を与え、さらには障害となることを避けるべきだと強調した。
元内閣官房副長官で参議院議員の福山哲郎氏は、ここ数年、日中両国のインターネットやソーシャルメディア上では、個人の利益を実現するために捏造されたフェイクニュースが多く出ており、極めて深刻な影響をもたらしていると指摘した。福山氏はまた、両国政府がフェイクニュースを明らかにするとともに、フェイクニュースや憎悪感情をあおる内容を法的手段で取り締まり、両国民がフェイクニュースにミスリードされないようにするべきだと提案した。
自民党参議院副幹事長の松川るい氏から見ると、愛の反対語は憎しみではなく無関心であり、もし両国が互いに関心を持たず、意思疎通を取らないなら、意見の相違や問題の発生を避けることは難しくなるだろうと語った。また、松川氏は、双方は日中韓首脳会議や大阪万博などの重要なイベントを通じて対話を促進し、両国関係の発展を積極的に後押しする双方の姿勢を示すべきだと指摘した。
「今は冬だが、中日関係には『暖流』が現れつつある。双方が共に努力し、政策の提案者であるとともに、交流の行動者ともなり、中日関係の発展に知恵と力をささげてほしい」と劉氏は分科会の最後に呼び掛けた。