中国語学習を通して得た学び
緒方 こよい
私の中国語学習の始まりは、大学1年次に第二外国語として選択したことからである。他には、韓国語、ドイツ語、フランス語があったのだが、同じ漢字圏であること、話者が多いため様々な人とコミュニケーションが取れるようになるのではないかということから選択した。その時の私が中国について知っていることは、卓球が強いこと、コロナで大変な状況下に置かれていることぐらいで、特に関心や興味があるものがあった訳ではない。また、ニュースやSNSの情報から中国に対してマイナスなイメージや、中国語が怒っているように聞こえることから中国人と話すのが怖いという偏った考えをしてしまっていた。
中国語学習を始める前は、よく耳にする発音の難しさという部分が不安であった。実際に授業が始まり発音を学んでいくと、やはり発音が難しく、あまり考えずに中国語を選択したことを少し後悔した。しかし、この発音の難しさが大学での授業が終わっても今なお中国語の学習を続けるきっかけであり、様々なことを気づかせてくれた。私は負けず嫌いな性格であるため、発音ができないということが嫌で先生の録音した音声やYouTubeの発音動画を何回も繰り返し見た。また、中国語の先生が外部で開いていたオンライン教室にも通うようになり、自分の中国語力の向上を図った。オンライン教室に通うようになってから、検定試験に取り組んだり、中国語の文章を読めるようになったりと自分の語学力を高めていった。
そんな時、教室の先生からある誘いを受けた。それは、様々な国にルーツを持つ子供たちとの交流会で絵本の読み聞かせをしてみないかというものだった。私は、人前で何かをするということが苦手だったが、成長につながると思い挑戦をした。中国語の学習を始めて4か月の私に中国語で読み聞かせをするというのは難易度が高かったため、中国語は他の人が読み、私は絵本の内容を翻訳して日本語訳を読むということをした。その後、同じ交流会に参加していた同年代の中国人の人を先生から紹介され、初めは会話がなかったものの徐々にWeChatで話すようになった。私が中国語の分からないところを質問した時は、私が分かるまで丁寧に説明をしてくれ、また、授業で自己紹介をすると言うと、私が書いた文章を録音して送ってくれたこともあった。翌年も交流会が開かれ、私は第2部の司会として参加した。その時も中国語での自己紹介を聞いてくれたり、片づけをしていたら手伝ってくれたりなど身をもって中国人の方々の温かさを感じた。さらに、2023年2月に行われた春節祭にも司会として参加した。そこで中国語で説明をする場面が何回かあり、ペアの中国人の学生が練習の時に1つ1つの発音を教えてくれた。
私は、中国語学習を始めるまでニュースやSNSの情報だけで判断し、中国に対してマイナスなイメージを持っていた部分があった。しかし、何人もの中国人と接していく中でそのマイナスなイメージは徐々に薄れていった。私が接してきた中国人は皆優しくて、思いやりのある人ばかりで私の抱いていたイメージとはほぼ真逆であった。また、発音を学ぶとなぜ怒っているように聞こえるのかも理解できた。中国語を学ぼうと思わなかったら、オンライン教室に通う決断をしていなかったら、私は今も中国に対してマイナスなイメージを抱いていたのかもしれない。また、人前に出るということをいつまでも避け続け、成長の機会を逃していたかもしれない。私はこれら経験から、情報を鵜呑みにするのではなく、自分の目で世界を見ていくことが大切であると感じた。そして、何かに挑戦することで自分自身を変えられることにも気づいた。これからも中国語学習を通して、様々な文化や歴史について理解や知識を深めていきたい。