歴史ある水郷の町でハイテクを体験

中国に行ったことのある団員も、今回の訪中で認識を新たにした。IT業界で働く村上千賀子さんは、4年前に上海に出張した。便利なタクシー配車・フードデリバリーアプリ、モバイル決済が深く印象に残っている。「当時、日本ではまだモバイル決済が普及しておらず、帰国後に同僚に話したところ、みんな興味津々で休憩時間にわざわざ使い方を聞きに来る人もたくさんいました」と語った。そして村上さんは中国のデジタル産業にも特に関心を寄せている。「あれから4年、中国のモバイル決済がどのように変化したのかとても知りたいです。出発前にスケジュールにデジタル人民元体験が組み込まれているのを見て一番ワクワクしました」

蘇州市の馮夢龍村で、訪中団はデジタル人民元のハード・ウォレット(SIMカード)を使った。通常のモバイル決済は、ユーザーの銀行口座などの情報を紐付ける必要がある。外国人観光客が使用するには身分確認など複雑な手続きがあるので、非常に不便だ。しかし今回、デジタル人民元でショッピングしたとき、団員たちはオフライン端末のPOSでカードをワンタッチするだけで欲しい観光土産を購入することができた。外国人観光客が使いづらい部分が完全になくなり、誰でも快適にショッピングを楽しめるようになった。
待望のデジタル人民元を体験した村上さんは、「モバイル決済は便利な反面、高齢者が利用したがらない、インターネット環境に依存しすぎているといった欠点もあります。今回、デジタル人民元を使って、説明文に目を通した結果、デジタル人民元はこれらの不便を考慮し、適切な改善を行っていることが分かりました。日本のモバイル決済プラットフォームは中国のやり方を参考にし、どのようにサービスを開拓し、より多くの人々に技術発展がもたらす利便性を享受させるかについてよく考えてほしいです」と語った。
中国に短期留学していた小松由依さんは、蘇州市のハイテク都市としての一面を発見した。蘇州北駅で高速鉄道を下りた訪中団一行は自動運転バス「Robo-bus(ロボバス)」に乗ってオフィス街、商業区、住宅地を有する蘇州高鉄新城(ニュータウン)を一周した。車線変更したときも歩行者が突然横断したときも安全かつ迅速に自動対応する「ロボバス」に団員は何度も驚いた。降車後も一行は興味が尽きない様子で、「もっと予想外の事態に遭いたかった」と冗談を口にする人も。小松さんは「蘇州に来たのは初めてで、北京に留学したときに行った頤和園の、蘇州の風景を模した蘇州街が大好きでした。実際に来てみると、想像とは全く違って驚きました。ここは歴史ある水郷の町であるとともに先進的なハイテク都市でもありました」と語った。

高校生の団員渡邉愛さんは、大福自動搬送設備(蘇州)有限公司を見学し、中国市場における日本の先端設備の活躍を知り、キャリアプランを広げた。「将来もし会社に中国に派遣されたら、自分の能力を鍛えるいいチャンスになると思うようになりました。大学に進学したら、中国語専攻か第二外国語で中国語を選んで、勉強を続けたいです。チャンスがあればまた中国に来たいです」と彼女は話した。
