脇道にそれて

2022-10-26 11:19:00
大戸 優真

今年の夏休み、学校で天津交流事業という、中国に住む中国人の高校生と交流する活動が計画された。せっかく語学を勉強しているんだから、とりあえず参加してみよう。私はそんな何気ない気持ちで、その活動に参加した。活動の内容としては中国人の学生とペアになってプレゼンテーションを考えるというものだった。僕のペアはTくんという高校一年生の男の子だった。zoomなどを使って、直接会えない中で互いに教え合いプレゼンの準備をしていくことができた。勉強してきたことを思い通りに使いこなせないもどかしさなどを感じつつも互いにコミュニケーションを取りたくさんのことを学ぶことができた。この活動を通して自分の中国語力の未熟さ、Tくんたち中国人学生の日本語の堪能さ、自分の中国に関する知識のなさ、中国人の好奇心の強さを実感した。

自分としては、自分はかなり中国に興味を持っているつもりでいた。小さい頃から中国人の人と接したことがあったり、知り合いに中国語を勉強している人もいたりして、ずっとなんとなく中国に興味を持ってきた。そして一年以上中国語の授業を受けてきた中で中国についてもかなり知ることができたつもりでいた。しかし実際にzoomで交流をしてまだまだ何も知らないことに気がついた。特にTくんから「誰か知っている中国人はいるか?」と聞かれたときにすぐに答えられなかったときそのことを強く痛感した。また、自分が読んだことのない日本の小説をTくんが読んでいたときには彼の日本への関心の強さに驚かされた。彼らはただ社会の授業で勉強するような日本の知識を持っているだけでなく、もっと細かな点における日本の文化や流行に精通していたのだ。例えるなら、街の大通りを歩くだけでなく少し脇道に逸れて路地裏を散策するような感じだ。大通りのような一般的な日本の知識だけでなく、脇道のような小説やアニメのようなものに触れることで、彼がさらに日本という街の魅力を見つけているのを感じて少し羨ましく感じた。私もTくんのような好奇心を持ち、さらにディープな中国の文化を調べてみたいと思った。

実際にネットで「中国 トレンド」で検索すると「国潮」という言葉が出てきた。国潮とは中国産のものやブランド、中国の伝統文化を取り入れたものを表す言葉らしい。確かに画像を見てみると中国っぽいデザインのファッションなどで、中国の伝統文化を取り入れたものというのがよくわかった。中国の若者がこのようなものに強い関心や興味を持っていると知って少し驚いた。なぜなら、日本では若者は韓国やアメリカなど海外のものに興味を持っていることが多いからだ。しかし国潮のファッションは伝統的な雰囲気を残しつつスタイリッシュでかっこよく、若者に人気というのも納得だった。伝統と新しいものを上手に融合することで、若者にも古くからの中国の文化を好きになってもらうこと。これが今の中国の経済成長のひとつのポイントなのかもしれないと思った。そして日本にも取り入れていけるポイントだと思った。

このような今この瞬間の流行やトレンドは常に変わっていくものだから人から教えてもらうのを待っていては中々知ることができない。高校の授業や教科書からは知ることができないことだ。しかしその流行にこそ、今知るべき情報や魅力が詰まっていると思う。自分から調べて、少し脇道に入って初めて今まで触れたことのない中国の世界を見つけることができた。これはTくんと彼の好奇心に出会えたからだ。

これからもthe中国と言える授業で学ぶ社会の状況や歴史などの大通りのような知識も取り入れていきたい。そしてたまに脇道に入ってさらに深い中国の流行りや文化を見てみたいと思う。新しい中国の魅力を見つけるのがとても楽しみだ。

 

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