壁を越えたスポーツ

2022-10-26 11:31:00
池田 光汰

今まで海外に触れたことがなかった自分が初めて関わるようになったのは小学校の時だった。私は小学校1年生の時から小学校にあった野球チームに所属していた。最初はなかなか人数が集まらずに他の学年の子と一緒に野球をしていた。私が小学校4年生になった時、突然たくさんの同級生が入ってくれることになり、ついに自分たちの学年だけで試合ができるようになった。その入ってきてくれた子の1人が中国から来た子だった。4年生になってから転校してきた中国人の子がいることは聞いていたけれど、野球チームに入ると思っていなくて驚いた。もちろんその子は日本に来たばかりで、上手に日本語を話すこともできていなかった。私はその時キャプテンだったので、みんなと同じように仲良くやっていけるか心配していた。しかしそのような心配はいらなかったのだ。普通は国が違う子が入ると少しは壁ができてしまうと思っていたが、チームみんながその子のことをチームメイトとして対等な立場で見ることができていた。そしてチームメイト全員と仲良くなることがすぐにできるようになった。また、言語が違うのに野球を教えたり、一緒にプレーしたりすることができるのか心配だったが、それも不要な心配だった。言語が違っても、スポーツはジェスチャーやプレーを通して教えることができたのだ。特にその子は見て学ぶことが上手で、私がプレーを通して教えたことをすぐに形にすることができていた。そして1年も経たないうちに立派に上達してくれた。元々体型に恵まれていたこともあり、試合に出ても攻撃面では本当に活躍してくれていた。

私たちが小学校6年生になった時、私たちのチームはどんどん成長していてたくさんの大会で優勝することができた。そんなチームでもその子の存在は大きく、打席に立つとみんなが期待するようなバッターに育った。私が一番印象に残っているのは、大事な試合で負けている場面で、その子が満塁ホームランを打って逆転してくれた打席だ。その試合はその子のおかげで勝てたし、その試合で勝てたおかげでメダルを手にすることができたのだ。私はその時本当にこのチームに入ってくれてよかったと心から思った。また例えその子が活躍できなかったとしても、その子の一生懸命な姿が周りに良い影響を与えてくれていたので、このチームに入ってきてくれたことに本当に感謝している。

今でも地元の子と遊ぶときに絶対にその子も一緒に遊んでいるほど仲良くなれた。また今私は中国語の授業をとっていて、中国語を取ろうと思ったきっかけもその子の影響だし、分からないことがあればその子に教えてもらうようにしている。これほど仲良くなれたのは野球というスポーツを一緒に頑張り、楽しんだからだと思う。私は言語も文化も違う中で同じチームで一生懸命頑張ってくれたことに感謝しているし、国境の壁を越えられるスポーツのすばらしさを学ぶことができた。この出会いをありがたく思いこれからも仲良く過ごせていけたらいいと思う。                   

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