一般人の人生を送る

2022-01-07 11:00:47

華東師範大学日本語学部3  張雅蕾

 

最近、日本の人気アニメ「銀魂」を見た。いろいろ面白いキャラが出場するにもかかわらず、私はある特別な脇キャラがとても気になった。そのキャラは、長谷川泰三といい、「マダオ」と呼ばれている。

彼は自分のルールを守るため、上司に切腹まで要求されるほど怒られて、解雇された。それからの人生は全く変わった。元々は局長である有力者だったのだが、今は仕事もお金もなく、公園に寝るかわいそうな浪人になってしまった。だから、「まるでダメなおっさん」と呼ばれ、「マダオ」と略称した。

このキャラを初めて見た私は、実はびっくりした。それまで自分が出会った物語には、いつも元気満々で自分の道を進むヒーローがたくさん出てきた。たぶん元気いっぱいの主人公を見た私たちがその物語から、自分をヒーローだと想像して楽しくなるように、創造者は王道作品ばかりを作ったのだろう。思春期の時もそういう王道作品に夢中になった私から見ると、「マダオ」の存在は不思議である。その頃は、「偉い」人生が欲しくて、偉いことをしなければ無駄に生きているような気がした。

しかし、残念なことに年とともに自分はただ一般人である事実を理解した。確かに、ヒーローみたいなかっこいい人生は夢に過ぎない。逆に、完璧なヒーローより、「マダオ」のような失敗者の物語は一般人の人生と似ているところが多い。だからこそ、失敗したキャラの人生に人々は共感する。例えば、ネクタイの結び方を間違ったり、買ったばかりのアイスクリームが落ちたりとか、いろいろちょっとした失敗の連続こそが私たち一般人の人生ではないか。真実感のあるキャラが挫折を経験しているのを見ると、自分を振り返って、何かを学ぶことができる。

マダオが段ボール箱の上で眠りながら星空に向かって気楽そうに段ボール箱の歌を歌っているシーンはとても印象深かった。失敗して谷底に落ちても、絶望しないで、イライラしないで、谷底の風景を楽しみながらあきらめずに登っていく。自分が不運に見舞われたときも、希望を信じで、人を助ける心を持ち続けている。失敗した人生も人生だ。マダオが教えてくれた道理である。

これは日本のアニメにしか伝えられないことだと思う。日本のお気楽そうなアニメは、幼稚に見えるかもしれないが、実は大人のために作られるのが多い。人を笑わせながら、大事なことを教えてくれる。私みたいな若者は、ヒーローになる夢と一般人である現実の違いに戸惑った時、深い意味を含んだマダオの物語に癒され、再び真の自己と向き合う勇気をもつ。

マダオの物語を知って、私の人生観が変わった。偉い人も一般人も、厳しい人生の中でもずっと生き続けるのは一番大切なことだ。失敗は避けられなくても、自分の人生であれば、楽観的に進むべきだと思う。そして、マダオはそういう道理を教えてくれた。

関連文章