銃に対抗する花

2023-02-07 16:33:37

孫佳明 電子科技大学

「私たちは、傷つけたり傷つけられたりしているうちに、だんだん優しくなってきたと思います」このエピソードを見るたびに、私は涙を禁じ得ない。 

戦争が終わったヨーロッパを背景にしたライトノベルの『ヴァイオレットエヴァーガーデン』は、2018年に株式会社京都アニメーションよりアニメ化された。初めて見た時に、西洋の設定でカタカナの多さに違和感があったが、ストーリーが進むにつれて、その中には日本の古典的な悲劇の美学が含まれることに気がついた。 

かつて戦争機械として存在していた冷たい少女は、手紙を代筆する仕事をしているうちに、愛の意味を理解していき、笑いと涙を持つようになってきた。主人公ヴァイオレットは他人の感情を伝えるのを助けると同時に、自分が優しくて善良になり始め、自分がなぜ生きるべきかを知り、命令を実行するだけの機械ではなくなった。 

魯迅は「悲劇は価値のあるものを破壊することだ」と言った。平和は美しいが、戦争で肉親を失った人々は、なかなか普通の生活に戻れなくなる。命をかけて救ってくれた少佐が行方不明になり、ヴァイオレットは一人で残酷な戦争から生還し、義肢を装着してタイピングを学ぶために専門学校に通い、少佐への思いを胸に信書サービスを提供する会社で働いている。本来、成長とは美しいものだが、彼女の場合は悲劇なのではないだろうか。彼女はただ普通の生活に戻っただけなのだ。 

しかし、一時的な平和でさえ、人間の輝きを示すのに十分だ。人々は未来への希望を持ち、勇敢に生活し、互いに支え合って励まし合い、世界の困難に直面し、自分の幸せを追求している。このアニメは戦争の残酷さと人々の暖かさの対比を通して、平和の美しさをはっきりと表現している。 

私は、ヴァイオレットから多くの啓示を得た。例えば、離別の中にも美しさがあり、失ったものはより懐かしいものだ。中学生の時、私はよく転校していて、友達ができてからすぐ別れなければならなかったので、しばしば過去の悲しみに陥った。その後、他人との出会いが限られていることを徐々に受け入れ、代わりに現在の友情をより大切にし、過去の事に対して悲観的な感情を持たずに、思い出に残すことをした。 

アニメ『ヴァイオレットエヴァーガーデン』を通じ、現在の生活を大切にして、希望を持って生きていくことが、苦難に対処する正解だということが分かった。この生き方は、銃に対抗する花だ。 

なお、このアニメの外伝が完成したのは、718京都放火事件が起きる前日のことだった。不幸中の幸いは、『外伝』を保管しているコンピューターサーバーが完璧で、映画も予定通りに公開されたことだ。製作したアニメと同じように優しい京アニは、この『外伝』のエンディングで火災事件での犠牲者や負傷者など、参加スタッフ全員の名前を公開し、この作品で彼らの献身を記念した。これは銃に花を咲かせる方法だと思う。 

佳奈――『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

 

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