成長

2023-02-10 15:15:00

梁海金 桂林旅遊学院

青山七恵の芥川賞受賞作である『ひとり日和』は、繊細な筆調で人物の内面を描くことを通じて、生き生きとした人物像を築き上げた、読み終わったら驚くほどの優しさが心に滲んでくるのである、茂っている葦原に佇んで風にあたりながらに立って風を受けて瞑想するような感じがしたり、冬の日の光が心の中に差し込んで暖かい感じもしたりする。はっきりとは言えないが、おそらくその作品「成長」ということを実感させたかもしれない。 

若い主人公である知寿は数多くの若い者と同じように、生活に迷ったりそこから逃げたりして、自分がどうやって生きてきたのか、あるいはどうやって生きていくのか、ということに悩み続けていたわけで、人間関係も希薄化・疎遠化になっていて、人々との関係も淡くなった。しかし、おばあさんの吟子との付き合いを通じて、知寿が自己責任を担い始め、前に歩んでいくような勇気が湧いてくるのである。知寿のに関する内面描写を読んだらを見ていて、まるで自分の心を凝らすように、私もそのような悩みも抱いているのではないだろうか。 

知寿の迷いに対して、71歳の吟子から見られる知恵はなんと輝くものだろう。「世界に外も中もないのよ。この世は一つしかないでしょ。」「若いころは、むやみに手を伸ばすからね。わたしみたいに歳をとると、出せる手もだんだん減っていくのよ。」そういうような吟子の話から、知寿にも私にも癒しがもたらされただろう。 

作品の最後、春が再び訪れ、行き先や前進するための力を手に入れた知寿は吟子の家から出て、彼女がすでに前進方向と動力を見つけたためである。そうだ、人間は前進し続けなければならないのである。『ひとり日和』は、人生に関する教訓説を大いに語らず、積極的な生き方を吹聴せず、ただ平実な言葉遣い、真実な生活描写や繊細な感情吐露で読者に心に打たれる体験を与えた。知寿はまさにそのような普通の日常生活を送っている私たち一人ひとりなのではないだろうか。 

私はただひとりの読者として、知寿から見られる優しさ、意地悪さ、弱さや強さを深く実感し、さらにそこから自分自身の鏡像を見つけた。私たちみんな、誰でもひとりで散々悩んだり、焦ったり、苦しんだりしたら、愛、夢や勇気を手に入れて成長していくものである。要するに、私たちが孤独を感じる同時、ある意味でそこかれ成長していくかもしれない。さあ、勇気を出して、「生活」という荒々しい洪水に逆らいながら前進せよ、我々はいつか、必ず自分ならではの「ひとり日和」を迎えることができるだろう。 

青山七恵の『ひとり日和』

 

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