心を強くし、再出発する

2023-02-10 15:26:00

蘭陳芳 東華理工大学

日本人作家青山七恵の作品には、若者の社会に対する戸惑いが詰まっており、いつも若者たちの心に響いている。作品の登場人物と同様、何処へ向かえばいいのか分からないが、自分の居場所を探したいだけだという若者が多いのではないだろうか。私もその中の一人である。 

『一人日和』という作品に描かれた青年・知寿は学校を出て母親と別れ、大叔母の家に滞在した。自ら自己紹介するのが苦手で、いきなり名前を呼ばれるのも怖がり、必死に身を隠している女の子だ。桜を好まなく、春の寒さを嘆き、季節の移り変わりに敏感な彼女は、人の群れに溶け込みたいときもあるが、傷つくことも恐れる。夏になって、どうでもいいような短い恋が終了した。そして恋愛とは何か、忘れられない思い出はないか、とさりげなく尋ねると、大叔母は自分の恋話を聞かせた。人生はこんなに虚しいものだと感じている。それでも将来にビジョンがあり、まともな人生を送ろうと思うようになった。秋になって、彼女はがんばって自分の生活を経営し、母親との距離を近づけ、元気になった。冬になって、一生懸命守ろうとした恋人は、ついに彼女の元を去っていった。彼女はみんなが自分から離れていくのを痛感していた。また、だれにも頼らず一人での生活を始めたいと考えていた。新しい春が始まり、新しい生活が始まる。 

この本を読んでいる間、知寿ちゃんが世の中のもう一人の私であるかのように感じた。驚くほどの経験もなく、何をしても真面目で、まともな恋愛もなかった。時々自分の望む未来が見えないという空虚な気持ちになることがあるけど、自分らしい生き方をしたいとも思っている。身にしみた記憶はないが、いばらの沼をくぐり抜けて、花の咲く場所までたどり着けると信じている。知寿と同じように勇気がなく、社会に踏み出すのが怖かった。でもこれから、自分の心に従い、肌も心も鍛えたい。「世界は内と外に分かれているわけではない」というのは著者が教えてくれたことだ。私も知寿さんのように再出発し、一人日和を迎えたい。 

『一人日和』

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