「コールドケース」を解決する意味
高義婷 上海交通大学
「コールドケース」とは長年にわたって未解決の事件のことだ。私は以前から日本のサスペンスドラマに興味を持っていた。「コールドケース〜真実の扉」というドラマは、私にサスペンスドラマに対する新しい認識を持たせた。
まず、このドラマは伝統的なサスペンスドラマに従って、捜査一課の五人組を設置し、毎回同じストーリーパターンに従っている。最初は事件前の状況を描き、そして事件が起こり、それから現代に戻り、後で事件はあるきっかけで再開されて、最後に捜査一課が事件を解決する。このドラマの主役--捜査一課五人組は、仕事を抜群にするだけでなく、彼らは事件を見つけ、物語を語り、真相を明らかにする。
次、このドラマでは「物語」がポイントで、サスペンスドラマが一生懸命に作り上げた怖い雰囲気よりも、事件の裏は、所詮悲しみと憾みに満ちた物語だ。恋に落ちた妓女、貧しい出身で正義を貫く検事、風采が上がらなくて正直な中学少女――被害者は各自の道で、普通な生活を過ごしている。ところが、突然差し込んだ事件画面とファイルが悲しみと憾みを基調にする。私にとって最も印象深いのは、ある反逆少年が邪教組織から逃げようとしている時、自分の愛している恋人に殺されたという事件だ。
それに、事件はそれぞれ、第二次世界大戦、小児性犯罪、スパルタ教育、シングルマザー、社会福祉と公職者の背任、人体実験など、より深刻な時代、社会問題を映している。このドラマはアメリカの「コールドケース」という連続ドラマに基づいて作られたが、中に多くのアジア文化と観点が馴染んできた。そのため、私は中国人として共感している。例えば、シーズン2のエピソード8では、平成8年の日本は経済のバブルが崩壊して、20年も失ったという状況を描き出した。過度な消費や信用販売が多くの社会問題をもたらした。そして、不良少女、非婚出子...これらは日本社会に対する特有の認識となっている。実は、量的緩和後の過度な信用貸し問題は、今では中国人の私たちの周りでも珍しくないだろう。「インターネット金融」という名の上で、様々なソーシャルレンディング危機やいじめなどの問題が現れている。このような事件が地方社会の新聞によく載せているのではないだろうか。
要するに、このドラマから遅い正義にも強い影響力があるという意味が深く感じられている。それで、丹念に作り出された時代感、今と昔の対照、社会問題の取り扱い、これらはすべて私がこのドラマを好む理由だ。このドラマは硬い説教をしないで、観衆に思考の空間を与える。そして、事件を解決するための推理ではなく、このドラマのハイライトは、その時代の社会状況の上で人間臭い一面をのぞかせた反省だ。
TVドラマ:コールドケース〜真実の扉