『ONEPIECE』という名の明かり

2023-02-13 14:08:00

沈斌清 南京大学

ONEPIECE』はまさに私の人生に大きな影響を与えてきた。そもそも、それがなければ今の私は日本語を学んでいないと思う。

小学六年生だった頃、兄に今では見られない海賊版のCD屋台に無理やり連れていかれ、何枚ものアニメCDを買わされたのが全ての始まりだった。たまたま買ったものの中に『ONEPIECE』も一枚だけ含まれていて、早速CDドライブに取り込んで再生してみたら、どハマリしてしまった。その一枚のCDを今でも私は丁重に保管している。確か中身は2006年05月から放送を始めたエ二エス・ロビー編で、実に全編72話が収まっていると思う。物語の主人公、モンキー・D・ルフィが仲間を集結させ、世界政府直属の諜報機関に攫われたもう一人の仲間ニコ・ロビンを奪還すべく、司法の島「エニエス・ロビー」に乗り込み、さらには狙撃手のそげキングに世界政府の旗を射抜くように命じ、正面から喧嘩を吹っかけたというすごく熱い内容だ。当時の自分はそれに深く感動を覚え、思わず涙まで流してしまったのだった。それに、ルフィが好きでよくその真似をしていたのも記憶に残っている。例えば、日が暮れると人目を避けて何もないところに「ゴムゴムのピストル」とか叫びながら拳を打ち続けるなど、今思えば本当にバカバカしかったが同じぐらい楽しかったのだ。

その後中学生になって、やっと親にパソコンを買ってもらえるようになって、すぐ親戚のパソコンショップを構えている叔父さんに選んでもらうようにお願いした。当時はまだ旧家に住んでいるため、自分の部屋は狭くて学習机の一台でも多く置けば、もともと少なかった動くスペースがほぼ全部持っていかれてしまうわけで、止む終えず小さめの机をチョイスして押入れの中に詰め込み、その上にパソコンを置いて大好きな『ONEPIECE』をみるようにしていた。

それから私が高校に通い始めたころ、親は少しは稼げて、もうそろそろいいだろうと思ったのか、ついに我が家を建て替えることに決心したようだ。大きく変わった新居に入っても私から『ONEPIECE』への情熱は一向に薄れることはなかった。むしろより大きく燃え上がったと言っても過言ではないだろう。部屋の壁やドアの内側など、一時期は目立つところに全部『ONEPIECE』のポスターを貼っていて母親に激怒されたことがある。

そして三年の月日が経ち、ようやく大学受験も終わり、いい加減進路を真剣に決めなければならないという大事なときに、私はあっさりと親に黙って大学の四年間は日本語を学びにハルピンへ行くことに決意した。多分その時の選択が今の私を形作ったかもしれないとすごく思う。

本当に過去を振り返ってみると、「ほぼ毎週のように『ONEPIECE』を欠かさずに見ているのだな」と、やや不思議で感動的だ。この経験も幾度となく私が人生の肝心な分岐点に立っているとき進むべき先を照らしてくれているのだ。

アニメ・マンガ『ONEPIECE』

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