一人でも食事を楽しめる人間になりたい

2023-02-13 14:14:00

陳梓瑩 天津外国語大学

「あ、お腹がすいちゃった。今日は何にしようかなぁ。」と独り言を言いながら冷蔵庫を開けた。 

一人暮らしの私にとって料理を作ることが一番厄介なことだと思う。料理を作るといっても、ゆで卵やゆで野菜、サラダぐらいのようなものしか作れない。美味しいどころか、生きていけるのに食べざるを得ないだけだ。いつも『孤独のグルメ』という日本のドラマを見ながら食事をしている。自分で作ったご飯を食べることよりもむしろドラマの中に出てきた料理を目で見る方が美味しいのだ。 

『孤独のグルメ』は輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎が仕事先で見つけたお店で食事を楽しむシーンや五郎さんの食事へのコメントなどを描いたグルメ関係のドラマだ。シリーズドラマの中では、「一人○○」というセリフが何回も出てくたことは非常に印象深かった。例えば、一人焼肉、一人ちゃんこ鍋、一人バイキング。日本では、一人で食事をするということはありふれたことのようだ。日常生活において、一人でも行ける焼肉屋や居酒屋は流行っているという。日本の検索エンジンで「一人で食事」をクリックしてみると、「一人でも入りやすくておすすめのお店」や「お一人様グルメおすすめランキング」といったサイトも多く見られている。 

一方、中国では一人で食事するというのは変に見られることもある。一人暮らしなので、もたまに外食したりする。しかし、五郎さんみたいに幸せそうに美味しい料理を楽しめなかった。なぜかというと、他人の目が気になってしようがなかったからだ。それに対して、五郎さんはいつも傍若無人に料理を楽しめる。口を大きく開けて一口食べて、じっくり味わったら笑顔が溢れ、満足そうな顔を綻ばせている。五郎さんは、いつも料理に陶酔して、心の中で「うまい」と「おいしい」を讃嘆して止まなかった。しかし、郎さんの訪ねたお店は決して高級料亭なんかではなく、大衆食堂のようなところばかりだ。五郎さんの高級料理かのように食べてみせる様子が羨ましい。ドラマのタイトルは『孤独のグルメ』だが、わたしは主人公の五郎さんが一人でも料理を幸せそうに楽しめるところに心を惹かれてしまったのだ。今度一人で食事をする時、私は五郎さんのように料理を楽しみたい。 

社会の発展や変化と共に、一人で食事をすることが多くなりつつある。食事は一人で食べる方が美味しいか、それとも家族や友人と一緒に食べる方が美味しいか。からすれば、一人で食事をするのは必ずしも寂しいとは限らない。孤独に感じるか否かは自分の心に聞いてみればいいのだ。なお、コロナ禍がおさまらない今では、健康の視点から見ても一人で食べる方がいいと思う。一人で食事を楽しめるなら、一人でも楽に食事させるような環境を整えてあげたい。要するに、互いの個性を尊重しあいながら、時に一緒に食事でもすればいいのだ。 

いつか一人でも食事を楽しめるような人間になりたい。 

『孤独のグルメ』

 

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