『キッチン』からみる「反伝統」について

2023-02-13 14:18:00

王立業 四川大学

『キッチン』は日本の作家吉本ばななのデビュー作であり、代表作でもある。去年、学校が行われた楊偉先生の講座によって、村上春樹同時代女性作家である吉本ばななの名を初めて聞いた。その後、は八〇九〇年代の日本文学興味を持つようになった。ついに『キッチン』を読んで小説に書かれた「反伝統」について、感想を述べたい 

短編小説『キッチン』は、「キッチン」、「満月キッチン2」、「ムーンライト・シャドウ」の3つの短編からなる。『キッチン』には、18歳の少女・美影が唯一の肉親である祖母を亡くし、事実の孤児になり、生活に行き詰まっていく姿を描き出した。その後、友人の雄一の家に招かれた美影は、雄一と彼の母である恵理子の世話を受けながら、次第に肉親を失った痛みを癒し、明るく勇敢に生きていくという物語である。『キッチン』では吉本ばななが伝統を超えむしろ反伝統的な表現を設定したと思われる。 

まず雄一と恵理子の親子関係が反伝統だといえる実は恵理子が性転換者で、もともと男性だった恵理子、雄一生まれて、そして雄一の母親が亡くなった後、女性になったのであるこのような恵理子は、女性の特徴の体を持ちながら、何よりも心理女性として認識していた。そのため、二人の関係は、母子と呼んでも大丈夫だと思う。伝統的な家庭では男女が父と母の役割を分担することと違い、小説には吉本父と母の役割を恵理子で自由に転換させて、これは非常に新しく非伝統的表現だと思う。 

次は、美影が雄一の家に入って、雄一と恵理子と三人で同居して、この三人の組織は家族と呼べられるか。この問題について私はそう考えているが、伝統的文化からみる家族とは血の繋がりを中心にして肉親の情で結んだ社会的ユニットである。美影母子二人血のつながりはなかったが、一緒に暮らし、お互い信頼し、励まし合い、素晴らしい生活送った三人はお互いに家族を認めたのである作者は家族お互い深い愛があることは不可欠だと思われる 

この本を読み終り、以上取り上げた反伝統な表現に対して私が驚いた。いわゆる反伝統は伝統を背くことで、私が認識する「伝統」は東方文化から認められる「伝統」に過ぎない。そこで、『キッチン』に描かれた「反伝統」が東洋文化と違い、「西洋文化」に属するものを判断したと私は意識した。 

明治維新以来、日本は西洋からカルチャーショックを受け続けてきた。百余年が過ぎ、日本は文化に対する自信を持ち、西洋文化を受け入れる余裕を持っていた。さらに西洋文化を自国の伝統文化と結びつけ、逆に新たな生命力を引き出すことができる。これらは反伝統的なものだという一方、伝統の延長線上にあるものだと言えるのではないか。今日の中国は、当時の日本と似た状況で、カルチャーショックを受け、伝統と現代の関係をどのようにしていくかを考えなければならない。 

『キッチン』 吉本ばなな

 

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