完全燃焼したい

2023-02-13 14:28:00

謝墨言 四川外国語大学

アニメ「呪術廻戦」の中に、「学生時代の不完全燃焼感は死ぬまで尾を引くものだ」というセリフがある。この言葉は私の心にずっと残っている。 

私にとっては、日本の高校のさまざまな競技大会が印象深い。運動部のインターハイ、野球部の甲子園、また知識を競う高校生クイズなど、才能を活かして競い合うチャンスが多くあり、青春を謳歌できる。勝者はもちろん喜びにあふれているが、敗者も、「非常に悔しいけれども、全力を出し切ったので、悔いはない」と言う。実に素晴らしい青春だ。このような輝かしい日々は、人生の大切な記憶と言えるだろう。少年時代に叶えられなかった願い、守られなかった約束は将来の傷痕になるかもしれないが、夢を実現しようと努力して、完全燃焼できたら、残念に思うことはないだろう。 

高校を卒業したら、みなは色々な道を歩む。高校時代のことを思いだしては感傷な気持ちになる。人生は短いものだ。時が経つのも早く、夢のために思う存分汗を流す時間はあまりない。大学を卒業して社会に出たら、仕事や人との交際などに明け暮れる。結婚しても夫妻関係や子育てに悩むのはよくあることだ。夢、願い、野望、捨てざるを得ないものは実に多い。このような日々を送り続けると、中年になって、無駄な人生だと考え込み、鬱病や不安症になりがちだ。 

人はつねに失ったものを恋しく思う。失ったことのない人、また、より良いものを手に入れることのできた人は、昔のものに執着をしない。今、もっと望ましい生活ができれば、過ぎ去った時間は恋しくない。或いは、もし今はまだ前を目指して進んでいれば、過去を振り向かない。 

学生時代の不完全燃焼感は死ぬまで尾を引く。ならば、成人したあとの不完全燃焼感は苦痛ではないのか。学生時代に完全燃焼できなかった人は、一生思い出のないつまらない生活を送らなければならないのか。人生のハイライトはたった一回だけだと、誰が決めたのか。成人して結婚したあとでも、夢に向かって努力してもいいではないか。これからの時代では、誰もが夢を見て、自由になるべきだ。実際、そのような人を何人も見たことがある。狭い家で貧乏な生活を送っているが、毎年大好きなカーニバルのために装飾道具を必死に作っているおじさん。毎日四時間以上かけて通勤し、家族を養いながら大学院に行くために猛勉強しているサラリーマン。彼らを見ると、情けをかけるより、尊敬の思いが溢れ出す。人はこんなにもしぶといものかと思う。成功の暁はまだまだこの先か、あるいはずっとこないかもしれないが、頑張ってる日々は人生のハイライトそのものだ。 

私は大学を卒業した後、数年間仕事をしてから大学院に入った。若い学生たちと机を並べていると、時間の残酷さを感じられる。しかし今は、自分のことだけに集中したい。数十年経って、老後になった時、ずっと頑張っていた自分を好きになりたい。我が生涯、一切曇りがなかったと誇りたい。 

アニメ『呪術廻戦』

 

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