「結び」――時空と人間関係の絆

2023-02-13 14:33:00

杜佳穎 上海初盟教育科技股份有限公司

もし誰かが「一番好きな日本映画は」と尋ねたとしたら、頭にまず『君の名は』浮かんで来る。なぜなら、この映画は私を感動させ、癒してくれた映画だからだ。今でもこの映画を思い出すと、物語の筋、画面の繊維さに感心することしきりである。 

この映画は東京で暮らす高校生「立花瀧」と、田舎町に住む「宮水三葉」、人生に全く交わりのない2人の意識が互いの身体へと入れ替わったことをきっかけに、謎の現象に戸惑いつつも、その間に起きた互いの出来事を共有して、次第に互いの性格や考え方を知り、絆を深めていくという現在と過去がつながるSFストーリーとも言える内容である 

この中で、時空の二重の横断の概念を用いて、日本のネイティブ信仰の神道との組み合わせにより、若々しい愛を物語ると共に、日本の伝統的な文化の場として機能している。「再会」などの愛のテーマも多くの人に共鳴するだろうが、その過程で「人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ、ぜんぶ神様の力や。」のように、繰り返し出てくる言葉に強く心を震わせている中で映画は終わる。一本の映画を見終わった満足感、物語の結末への喪失感、さらに多くのことを伝えてくれた共感に対して、我を忘れて、ひたすら物語の筋に酔うような感覚を味わった 

祖母三葉姉妹に布を編むように教えたとき、このように「結び目」の意味を説明した。「神さまの技……それが結び。それが時間。」「糸を巻いとると、じきに人と糸との間に感情が流れ出すで。」というように述べて、この「結び」、時空の変化と運命の浮き沈みを目の当たりにし、瀧と三葉の知り合い・愛し合う過程にも窺える。さらに、それは、三葉の付けた髪の赤い頭ロープだけでなく、瀧導いたり、困難を乗り越えたり、両者の運命を守る道を探したりするよう促す鍵でもある。 

映画を観た後、映画の魂――「結び」などの仮想概念の理解は、多くの関連資料を調べてから、徐々に理解することができた。「二礼二拍手一礼」の祈りであれ、人生のあらゆる段階に関わる「通過儀」であれ、神社は日本人の個人や社会生活の重要な一部となり、徐々に彼らの精神構造に溶け込んだようになる。 

一方、神社は上から下へ「神社―家族―個人」の縦のネットワークを形成する。もう一方で、祭りを通して、人と人や地域間の交流を促進、社会的結束と統一性を高め、神社を中心とした横のネットワークを形成することもできる。これら二つのシステムが時間的・空間的認識という「見える網」であるとすれば、文化を受け継いていく上で培ってきた承認と誇りは「見えない網」ともいえるのだ。さらに、両者の相互作用は、いまの日本国民の精神的な支えのではないだろうか。 

『君の名は』は、巧みな物語設定と美しい視覚効果により、観客が無意識のうちに日本文化に触れ、自分なりの理解を生み出すことができるのだ。国際交流が益々頻繁になっている今、映画などのソフトカルチャーキャリアを通じて中国文化をどのように広め、中国と日本の文化交流を推し進めるかは、紛れもなく我々直面すべき課題である。 

『君の名は』

 

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