自他の美をともに美とする―日本文化の現地化

2023-02-13 14:47:00

林琳 戦略支援部隊信息工程大学

中国の学者である費孝通氏が「各美其美、美人之美、美美与共、天下大同」と言ったことがある。日本語で言うと、おのおの、自分の美を美とし、他者の美を美とし、自他の美をともに美とすれば、世の中は大同社会になるという意味である。それはまさに日本文化の現地化を如実に表していると思われる。 

2020年の前半、新型コロナウイルスのため、みんなが自宅で自粛し、「おうち料理ブーム」が巻き起こった。日本料理が大好きなので、刺身の調理を習ってみた。ネットでいろいろな資料を調べているうちに、偶然日本の美食だと思っていた刺身が中国から伝わったものだと初めて知った。だから、中日両国の交流史と現地化の日本文化の特徴に興味を持ってきた。先生に進められ、内藤湖南の『日本の歴史と日本文化』という本を読み始めたら、日本文化への理解が更に深まるようになった。 

この本によって、日本には文化の種がないが、文化を形成できる成分があり、異国文化の力を借りて徐々に凝集し、最終的には日本文化を形成したということが分かった。 

その中で、日本は異国文化に対して、魯迅先生が掲げた「拿来主義(コピー精神)」と違って、批判的かつ国情に合わせてかすを取り除きて、精華を取り入れ、異国文化の美を認め、自国文化の発展のため絶えず新たな生気を注いでいる。湖南の本にいろいろな例証がある。例えば、飛鳥時代の八省百官は、唐の三省六部に倣った上での革新である。奈良時代の東大寺の彫刻は、中国六朝時代の写実風を映し出すだけでなく、日本地方の特色も添えられている。 

また、湖南は、東洋民族は、如何なる難解な、如何なる高尚な文化でも、それを吸收して、そしてそれを自分の文化と一体化させるために努力しているという堅固な信念を持っておると述べた。中日両国間の文化交流は歴史が長く、日本はすべてを納める大海原の如き、異国文化を受け入れ、自他の美を共に認め合っている。 

上に言った刺身もその点の現れといえよう。刺身は中国から伝わったものである。『詩経』によると、西周に宣王の大臣であった尹吉甫は薄く切った生鯉の膾で宴を設けたそうだ。日本は中国の刺身の美を認め、それに独自の美を注いで、さらに刺身の原料を革新し、魚肉に限らず、和牛や馬肉など原料にした。今では刺身は日本料理のシンボルとなり、世界的な名声を誇っている。 

ワインバーグの『知識の境界』の中で述べたように、「革新は時代の血である」。日本文化と中国文化は古くから双生の花のように今まで生きている。中日両国が今後、手を携えて行動し、他者の美を美と認める雅量、善を選んで従う余裕で、両国間のより高次元の文化の革新を望んでいる。 

「百花斉放こそ春である」。小さな刺身には、日本文化の現地化ばかりでなく、中日各々の美しさが共に交わることも現れている。今年は中日国交正常化50周年にあたり、われわれは前向きな姿勢で相互交流をして、両国文化を世界の森の中で開花させ、中日友好関係が新たな段階に進むように取り込んでいくと思っている。 

『日本の歴史と日本文化』

 

関連文章