「無縁」の社会で世界との絆を深めよう

2023-02-13 14:55:00

高方琦 北京語言大学

「人間は、だれも孤島ではない。いかなる人も、大陸の一片、主要なものの一部なのだ。」イギリスの著名な詩人ジョン・ダンが書いたこの言葉は「無縁社会」という本を読み、それに対応するNHKのドキュメンタリーを観て、最初に頭に浮かんだ言葉である。 

2010年の1月末に、NHKスペシャルで無縁社会“無縁死”3万2千人の衝撃」という衝撃的なタイトルの番組で紹介された。一旦会社を退職し仕事を失えば組織とのつながりをなくすばかりか、地域のつながりが薄くなる。家族との関係が昔に比べ変化していることなどの理由で孤立化し、最後は孤立してしまい、死んでいく。こうした人々が年間32,000人もいるという内容である。こうした一連の社会問題的な研究と追迹は、数多くの日本の「無縁死」になった人々の生前の物語を記録しており、視聴者にもかつて実在した生命の迹を垣間見ることができる。 

「無縁社会」という本とドキュメンタリーを観たとき、私はとても衝撃を受けた。人の命が跡形もなく、あっけなく終わってしまうことを残念に思い、亡くなった方がかわいそうで、一人で人生の最後を迎えなければならないことを嘆き、生きる意味とは何なのかと、少し戸惑いさえ感じた。その後、インタビューに答えてくださった水野さんの言葉を読みながら、改めて感じたことがあります。 

「だから、人とのつながりは、自分の存在の確認だと思っていますね。」水野君はこう言った。NHKが取材した水野は、かなりの高齢者でありながら、いまだに就職活動を続けている。その理由は、家族と連絡が取れなくなり、故郷を離れたからだ。社会との血縁関係や地縁関係がなくなっている。そこで彼は、社会から落ちこぼれないようにするためには、就職して職場の縁を求めなければならないと考えた。 

まじめに考えると、その一言の意味は「人とのつながりを失うことは、生きながらにして孤独な死のようなものだ。」と思う。自分を大切にしてくれる人はいないし、何の役割も果たせない、それならば生きていても死んでいても同じだ。それは消えてしまった人に違いないだろう。 

この水野君の言葉は非常に理にかなっていた。孤島のような人はいない。人は身近な社会とつながってこそ存在するだろう。 

今の技術や経済の発展が著しい現代におけると、ほとんどの人が歴史や時代の流れに流され、せわしなく生活しているのではなかろうか。おそらく、私たちは皆、生活の雑務やプレッシャーのせいで、人と付き合う能力や興味を失っているのではなかろうか。でも、水野が言ったように、私たちが世に出た以上、何らかの痕跡を残さなければならないと思う。私たちを取り巻く世界との結びつきは、私たちが存在していたことの証明かもしれない。 

だから、オープンハートで世界を受け入れよう!「無縁」の社会で世界との絆を深めよう!一度しかない人生、ぜひスタイリッシュに生きてみってください! 

書名:「無縁社会」

ドキュメンタリー:「無縁社会“無縁死”3万2千人の衝撃」

 

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