雪が溶ける時
鐘詩(東華大学外国語学院)
藤井樹は藤井樹のことが好きだ。その感情は多くの情景に表れている。藤井さんは渡辺さんに一目惚れしたと言ったが、実は本当の原因を彼だけが知っている。二人が答案用紙を間違えたとき、男の子はカーポートで「暗くて、よく見えない」と言った。女の子は彼に灯をつけたが、もう少し一緒にいたいがために、彼はわざとぐずぐずした。周囲のクラスメートがやじる中、彼は彼女のために殴り合いをした。彼の机の上には菊の花が置かれ、彼女はその花瓶を砕いた。図書室で、風が吹き、揺れる白いカーテンの向こうには彼女の清楚な顔があった。
片思いとは、「一人で踊り狂うようなもの」だ。藤井樹の片思いは、「儚くも美しい瞬間」を持ち、それが「極度の物哀」を感じさせる。桜が散るように、片思いも終わりを迎える。
本の中で、男の子は女の子の絵を挟んでいた。最後に女の子がその図書カードを覆すまで、彼女は自分が男の子を好きだとは全く気づいていなかった。しかし、自分が鉛筆で描いた絵を見ると、すべての答えが心の中にあるように感じた。
手紙で渡辺さんは、「あの図書カードの名前は本当に彼の名前でしょうか?」と書いた。その名前が誰のものかは、「藤井さんだけが知っている」。このように、片思いの美しさと切なさが交錯し、最終的にはその真実を知るのは藤井さん自身だけであることを示している。
この映画自体も物哀の表現である。映画の最初で、渡辺さんは雪黒い衣を着て白雪の中に横たわり、目を閉じて呼吸も停止している。次の情景では、藤井樹が雪の上を歩いていて、急に足を止める。彼女は凍えて死んだトンボを見て涙を流す。そして、渡辺さんは「私は天国への手紙を書きたい」と言う。山で彼女は向こうに向かって「お元気ですか?私は元気です」と大声で叫び続ける。この映画は淡い悲しみに満ちている。物哀とは、儚い美しさが消えることによる美しい感覚を指す。藤井樹の片思いは、心に秘めた恋であり、短くて美しい。
偶然、私はあなたとクラスメートになった。ずっと私はあなたに関わることが面倒だと思っていた。しかし、どうして私はあなたのことを気にせずにはいられないのだろうか。あの図書カードの名前は本当にあなたの名前か?夜中の四時に目が覚めた。海棠の花はまだ眠っていなかった。私はあなたがそばにいてほしい。雪が溶ける時、私はあなたの心を発見する。しかし、もう遅かった。