ユートピア的青春
卓倍毅(韶関学院)
『さくら荘のペットな彼女』は、私が高校時代に見た最初の日本アニメだ。このアニメは、高校生の主人公・空太が、学生寮で猫を飼っていたため校長に罰せられ、変人が集まることで悪名高い「さくら荘」に行かされてしまうが、志を同じくして夢のために努力し続けてきた友人たちと知り合い、様々なことを経験する青春ストーリーだ。
物語の中で、どの人物も普通のように見える。空太を例に取ると、彼は天才ではなかったが、ゲームデザイナーになりたいという夢に向かって、諦めないで努力し続ける姿に、当時の私はとても感動した。アニメといっても、作品のほとんどはキャラクターたちが夢を追う過程を現実のように紆余曲折して描いている。温情に満ち、順風満帆ではないが、これこそ青春のあるべき姿だ。
アニメの中には、空太がさくら荘の友人たちを組織して文化祭を行ったり、真夏に友人たちと夏祭りの花火を見たり、夏休みにそれぞれの部活のための合宿をしたりといったストーリーが、同種の青春アニメと同様に、よく登場する。アニメの中で最も違いを感じたのは、教育制度だ。当時の私のようなほとんどの高校生の授業は、大学入試に関連する授業しかなかった。アニメあるいは現実の日本の高校生と比較すれば、彼らの教育制度は生徒の部活動や興味の育成を比較的重視している。進学制度にも違いがあり、日本の高校生たちは自分の目標校を選んで希望する大学の試験だけを受け、明確な目標に向かって前進することができるが、私たちは努力して点数を上げてから大学を選ぶしかない。
主人公の空太は最初、目標もやる気もなかったが、さくら荘の友人たちの夢への執着に感染し、闘志を燃やし、ゲーム制作者になりたいと思うようになり、教育制度に引き立てられて、自分の夢をしっかりと選ぶことができた。このことは私に羨望と幻想を抱かせ、ユートピア的な青春だと思った。
私の青春時代の高校生活は、多くの科目、多くの試験用紙の中で過ごした。よく勉強して良い大学に合格してこそ良い未来があるというのは一般的な考えだが、大学に合格して相対的に自由になっても、人生にはまだ無数の「入試」が待っている。このアニメの物語は主人公たちが卒業して自分の夢を完成することによって終わったが、私の青春物語はまだ終わっていない。私自身の青春はこのアニメには及ばないが、同じように美しいことを願う。